ポケモン

□見えない嫉妬
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「俺に勝とうなんざ百年早いんだよ!」

それは、負けた者が吐く台詞ではないだろう。
なんてぼーっと考えながら、足早に去りゆく相手をじっと見据えていると、何も無いにも関わらずふいにそいつは体制を崩した。

「うおっ!?」
「おっと、大丈夫かい?」
「え、あ…す、すみませ…」

思わずその名前を叫びそうになったが、近くにいたトレーナーに支えられ柄にも無くおどおどしているグリーンを見た瞬間、その気も失せた。

「ー…」

反射的に前に出てしまった左手が何となく寂しかったからぶらぶらと動かして見せた後、少しだけ強引にポケットに突っ込む。
その時一瞬だけグリーンと目が合った。
恥ずかしいのか、涙目で頬を染めるその姿に、何故かどす黒い感情が芽生えた。

…気がしたが多分それは気のせいだ。

「…、」

その、生まれたのかさえ分からない醜い感情を身体から追い出すように深く息を吐いたあと、俺はゆっくりと踵を返した。

END


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