◇ヒアシンス

□我慢できない
1ページ/2ページ



「綾、競争。」


寮で勉強中、いきなり遼が俺に声をかけてきた。


「は?競争?」


俺はム、と遼を見上げる。


「勝ったら、お風呂先、ね」
「風呂?…んー、」

「負けたら、片付け」

「まじでか。」


俺たちの寮には各部屋に、風呂がついている。

これが意外と広くて綺麗と評判なのだ。だがその分片付けも大変で、できればやりたくない仕事である。


「いーよ?…何する?」

「数U宿題、正当率で」

遼が自分のワークを見せる。

「りょーかい、……んじゃまぁ、参りますか?」


よーい……ドンっ!!


俺の声で宿題を始める。

数Uは得意科目なので、負ける気がしない。

でも遼は、こんなんで学年首位だから油断は禁物。

てか引き分けだったらどうすんだ?




……―そして、



「綾、満点」

「お前もだ」


お互いの答案を交換して、丸つけをする。



引き分けだったのを見て、遼が考え出した。


何だか嫌ぁぁあな予感が




「綾、一緒」

「入るか、ボケッ!!」


案の定、一緒に入ろうと言ってきた遼。


「ダメ、引き分けだから。」

「引き分けだから何だよっ」

「一緒に入る」


「何でっ?!」


遼との押し問答が続く。


「嫌、綾と入る。」


ぷーっと膨れてしまった遼。はっきり言ってしまうと遼はこうなってしまうと永遠に動かない。

変なトコで頑固だから。


「解ったよ。入ってやるから、機嫌直せ?な?」


やっぱり今回も俺が遼を許してしまった。こういうとこが甘いのか?


でも……流石に今回はもっと粘るべきだったか?と多少の後悔をしながら、脱衣所へ向かった。









「綾、先入って」

遼はモタモタ制服を脱ぎながら俺に言った。


「んー、わかった」


俺はタオルを腰に巻き、風呂場へ入っていく。

そして湯船に浸かろうとして、

「遼、入浴剤持ってこいよ」

と声をかけた。


「んー…」

生返事の遼。


多分聞いていない。


「仕ッ方ねぇなぁー」


そう言って、一度風呂場から出て入浴剤が入っている棚を開けると……


「は?空?」


そこに沢山入っていた筈の入浴剤の試供品が全て無くなっていたのだ。


「は?え?お、おい遼。入浴剤知らねーか?!」


「……使った」


遼は腰にタオルを巻きながら目線を反らす。


「使ったって…!じゃぁ、」

「うん、可愛くてやらしい綾の身体がよく見えるよ」


そう言って遼は、その幼稚な喋り方からは予想出来ないほどエロイ声で囁き、俺を持ち上げた。


「ちくしょっ…!結局、お前それが目的かっ、バカ」


今はメガネを外しているので視界がぼやけているが、多分遼は嬉しそうな顔をして、


「綾、可愛く啼いて?」


そう言うのだろう。












「っ…!く、ひ」

シャワーでお湯を浴びながら、手についた石鹸で優しく身体中を撫でられる。


「ここ、気持ちいい?」

「く!ひゃんっ、!」


胸の突起を人差し指と中指で押したり潰されたりする。


石鹸で滑りやすくなっているため、リアルに感覚が伝わってきて過剰反応してしまう。


「ふ、うぅ…ぅんっ!」


はぁーっはぁーっと熱い息を溢しながら、身体を丸めて快感を逃がそうとする。


「綾、気持ちいい?」


のほほんとした顔で、後ろから聞いてくる遼。


なんだか他人事みたいだけどお前がやってんだからなっ、コレッ!!


「くひ、ゅっ…!」


乳首が真っ赤に熟れ、もう触られると痛いと感じる程になった時、遼が急に手を離した。



「りょ、」


温もりがなくなり、不安になる。



「綾、スポンジ。」


遼の手には、目の荒いスポンジとボディーソープが握られていた。


「コレ、気持ち良いからってくれた。」

「誰が…」

「会長、」


やっぱりあの人の入れ知恵かっ!と思いつつ、遼をギロと睨んだ。


「遼は、あの人信用しすぎだ。絶対なんか企んでる……っておーい何、人の身体縛ってんだよっっ!!」



気付けば両手足は、風呂場の手すりに縛り付けられていた。


「綾、会長悪い人じゃない」

「いーや、あの人は危険だ、なるべく関わらない方が身のた……っ?!」


ガクンッ


いきなり綾の身体が跳ねた。


「ばっ…りょ、う!…それっ、いや、ぁあっ!」


いきなり遼が、スポンジにボディーソープをつけて、自身を擦りあげたのだ。


その衝撃ったら、今までの比ではない。

ザリ、と擦られる度に頭の中でパチパチと火花がとぶ。


……オマケになんだかじんわり下っ腹あたりに熱がたまってきたような…

この感覚は………



「ね、綾。これ“ビヤク”っていうの、入ってるって。わかる?」


媚薬だとぉぉおぉお?!

このボディーソープ、白とピンクの可愛らしいパッケージのくせして、そんなモンが入ってんのかぁぁあ?!



「っくそ…!」


だんだん頭がボーッとしてきた。

自身が小さく脈打ち始める。


「遼、…っテメこれ以上余計なもん貰ってねぇだろーなァ…」



恨めしげに睨むと遼はキョトンとして、


「んー、わかんないから見てくる」


そう言って、何といきなり風呂場を出ていってしまった。


「ちょっ…待て!…遼っ」


綾は苦しみながら遼の名を呼ぶが、遼はそのまま行ってしまった。


「っくそ…っ!…苦し」


これで両手が使えたら、勝手にヌイてすっきりすんのに、と涙で更にぼやけた視界で思う。


「はっ…放置プレイたぁ、遼のヤローっ!」


どうにかして、自身に刺激を与えられないかと模索するが、ただ腰を捻るだけでどうにもならない。


「は、あぁ、ん…く、ひぃ…んう」


時間が経つにつれ、綾の喘ぎも大きくなっている。


「ひぃっ…ああ、ん…りょう、りょ、…ん、う」


涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、涎を流して恋人の帰りを待つ。





「………綾、綾?見える?」

はっと気がつくと、遼が目の前で手を左右に振っている。


「りょ、遼…りょう、苦しぃ…苦しいよぉ」


ぼろぼろと泣きながら、遼に懇願する綾。


はっきり言って、こんなに近くにいる遼の顔さえぼんやりとしか見えないのだが、多分今遼はとっっても優しい笑顔で


「綾、可愛い」


って言うんだろうな。


「く、ひぁあ…っ!」


遼が俺の一物を口淫している。


刺激を待ちわびたソレは遼が少し舐めただけでちょっとイってしまった。


「すごい、綾」


ヘラッと笑って思い切り奥まで俺自身をくわえ込む。

「ば、かっ!遼っ、ひぃっ…そんなしたらっ!俺、ちょっ……ひぁぁあっん!」











その後、そのボディーソープは『使うな危険』の貼り紙を貼って棚の奥にしまってあるという。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ