†本編

□チョコ頂戴☆
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「おっ多串くぅ〜んっ♪」

「ない。」


「いやっ!!はやっ!!まだ俺何も言ってねぇよっ??!」


久しぶりに聞いたその名前と浮かれた声で大方何が言いたいか想像できた。



「今日は2/14!!!!世の中の姫が王子様に想いを伝えられる絶好のチャンス日!!」

「ない。」

「だから、何もいってないじゃんっ!!!」



俺は部屋で始末書を書きながらテレビをパッとつけた。


『今日はバレンタイン!見てください。この行列!!女の子がたくさん並んでいます―…』


「今から買うのは確実に無理。つーわけで……」



「十四郎ォォォ……」


どんよりとしたオーラを身にまとって体育ずわりをする銀時。


「俺だってさ、糖分王の名は伊達じゃないわけさ。それがここ数日、今日この日のために甘いもの我慢してきたんだぜ???それをないの一点張りってどういうこと????大体……」




「うるっせぇよっ!!!!つーか長ぇよっ!!!あげねぇとは言ってねぇだろっ!!!」


つい大声で暴露してしまった土方。ハッとして片手で口を覆う。


「あ…いや…その…」


赤くなってしどろもどろする土方。それをニヤニヤ笑いで見つめる銀時。



「十四郎君???」


「っ〜〜〜!!!!」



土方はガッと机の引き出しを開け四角い何かを取り出した。



「……ん。」


「板チョコ…???」



銀時は渡された板チョコを静かにみつめた。



「悪い…。何か作れたら良かったんだが、そんな洒落たやつ俺には作れねぇし、出来てるやつは買えなかったし……。」


下を向いてポツポツと語りだす土方。



「……、嫌だったら返してくれ。…何か甘味我慢してたみてぇだし…。」



「良いよ。」


銀時が呟いた。


「十四郎が買ってきてくれたものは、何でも嬉しい。」


素面でそんな事を言う奴だから恥ずかしい。


「……ってわけで、」

グッ


「んっ…??!!」
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