†本編

□壊れない、離れない
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「銀っ!!もうっ歩けるからっ離しっ…!!」


「嫌。」

銀時は俺を担いだまま
じっと前を見ていた。


「ちょっ…本当に…銀…」

「嫌だっ!!!」


間髪入れず強くそして不安げに俺の願いを拒絶した。


「……ごめんね…十四郎…でも‥今お前を離したらお前どっかいっちゃいそうで怖ぇんだ…」


「…‥どういうこったよ‥」

チーン


「それは俺が聞きたい。」


エレベーターから降りた俺達は銀時の部屋に向かった。

そして部屋に入り(今回は個人部屋)俺はベッドに投げられた。

「おいっ…!!」

ギシッ

ベッドの軋む音と共に
銀時が覆い被さってきた。

「お前…何隠してる…??」

「っ…?!な‥なに…」


土方は狼狽える。

言いたくない…

自分がこんなにも弱い
人間だと知られたくなかった。


「な…何も隠してなんか!」


「ほぉ…??だったら吐かしてやろうじゃねぇか。」


「なっ……!?いっ…?!」


銀時が意地の悪い笑みを見せたかと思うと手際良く隊服を脱がせ始めた。


「てめっ…何しやがっ‥」


駄目だ…‥

これじゃぁいつもと
一緒じゃないか……‥。


結局銀を不安にさせて
困らせて……


なんで俺素直になれないんだろう…
なんで俺言えないんだろう


銀が死んじまう夢を見て怖かったんだって……―


ただそれだけ―…

銀は多分そう言ったら笑って抱きしめてくれるんだ…

大丈夫だよって…


「十四郎…」


いつの間にか手を止めた銀時が俺の事を目を見開いて見つめていた。



「ぎっ…おれ…」



なんでたった一言が言えないんだろう…


俺だって銀の事が好きで
いつもいつも銀の事見てて
いつもいつも銀の事考えてるのに……





どんなものより一番
大好きなのに…



「ごめ…なさ…」
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