†本編
□君と僕の幸せを、
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「トシぃ。どうだ??調子は」
「近藤さん…‥毎日毎日見舞いに来なくても…」
ヒョコッと現れた自分の上司に苦笑する。
「ほら、休んでなきゃ駄目じゃないか。俺に隠れて素振りとかやってないよな??」
「やれるわけないだろ。こんなとこで。」
「はっはっは、そりゃそうだ。」
近藤は豪快に笑う。
「そういえばトシ…万事屋とは…」
「あの男の話はしないでくれよ、近藤さん。」
土方は煙草をくわえたまま顔をしかめる。
「あのヤロー……」
―…
「お前がヒジカタトウシロウ君??」
いきなりノックもなしに部屋に乗り込んできた白髪(銀髪か??)の男はこうのたまった。
「いやー。髪も何も真っ黒だ。心の中も真っ黒なんじゃない??やっぱ俺みたいに体も心も純白だと良いよね。」
ブチッ
「ざっけんなよォォォォ!!白髪野郎ォォ!!!ミンチにしたろかぁぁぁッ??!あぁ??!」
「白髪じゃないよっ??!銀さん白髪じゃないからねぇぇっ?!俺は坂田銀時ですっこの髪は銀髪ですっ好きなものは糖分ですっ」
「んなこと聞いちゃいねぇぇっ!!!」
―…
(ムカつく…思い出しただけで無性にイラッときた)
「トシ…」
記憶を失っても喧嘩って…
「仲が良くて良かったな。」
「良くないっ!!!」
土方は必死の形相で近藤に噛みつく。
「なぁ…近藤さん‥。」
そしてキッと真面目な顔になって…
「俺はあいつの事忘れてんだろ??んであいつも俺の事を覚えてないと…」
「一体俺とあいつは何があったんだ??」
「……トシ……」
真剣に考える姿は以前となんら変わりはない。
怪我をしてるとしても見た目は変わらない。
だが何かが違う。
長年一緒にいるだけあって小さな変化にだってすぐ気付く。
何だろう。何が違う…
いや「違う」のではない何かが「欠けている」のだ。
「何だ近藤さん。難しい顔して…」
『…ハハ何だ近藤さん。難しい顔して…何かあったのか??』
……わかった。
トシ、お前にはやっぱ万事屋が必要だよ。
お前が笑顔になるには万事屋が必要なんだ。