retaliation
□retaliation
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――…
「…ん、…ん?」
朝日がカーテンの隙間から差し込み眩しくて寝返りをうつ。まだまだ寝ていたくて再び目を瞑ること2、3秒。
「学校!!」
バッと飛び起きて枕元の時計を確認すると時刻は7時半を回ったところ。
「嘘だろ〜!」
急いでパジャマから制服に着替えて洗面所に飛び込む。
「やばいやばいやばい〜!」
そしてネクタイを結んで髪をとかして顔を洗う。
よく女みたいな顔をしていると言われるが、実際そうだと自分でも自覚している。
「〜〜京さん!ごめんなさいっおはようございます…!」
支度ができたところでリビングに飛び込むと、コーヒーと食パンをゆったりとたしなむ優雅な男が1人。
「はい、おはよう岬くん」
「うわぁああ!ごめんなさいっ!僕が朝食作らなかったからぁっ」
「たまには食パンも良いものだよ〜?」
「で、でもご飯は炊いてありますよ…?」
「朝食のご飯は岬くんのお味噌汁がなかったらヤダ!」
「うわぁあんっ!京さん大好き!」
そんな風に言われたら、もう申し訳なさと嬉しさでいっぱいだ。
「ほらほら、はやくしないと遅刻だよ〜!」
そう京さんに急かされて、お茶碗にご飯をよそって昨晩用意しておいた焼き魚を温める。
「明日はお味噌汁期待しておくからね!」
「だったら起こしてくださぁい!」
急いで用意をしている中、追い討ちをかけるように京さんが僕に声をかける。
「駄目だよ。自分で起きなきゃ。もう高2でしょ」
「京さん厳しいー!」
「当たり前です。」
『――…先月末、△△市で起こった○○事件の……―』
「…あー、これやっとわかったの…」
「…?」
「あぁ、ニュースの話」
コーヒーを飲みながらぼやく京さんは、はぁとため息をついた。
僕は結橋岬、17歳。鳳凰に通う高2生。因みにクラスは1。
僕の両親は、昔世間を騒がせた凶悪な殺人犯だった。僕はまだ小さくて、よくわからなかったけど、とにかく家にいない両親だった。
実際、警察に捕まりそうになった途端僕の目の前で自殺を図ったのだから、僕の存在は最早無いものだったのだろう、と考えている。
その時、孤児になった僕を拾ってくれたのはこの結橋京さん。
当時事件を担当していた刑事さんで、血の繋がりもない僕をここまで1人で育ててくれた、とても優しい人だ。
小塚岬というのが僕の本名だが、身元が割れないように京さんが色々手配してくれて、僕は結橋岬として生活できている。
「…みーさきくんっ」
「はいっ!?」
「時間は?」
「はぁぁぁあっ!!もうこんな時間…!?」
急いで食べ終わった茶碗と京さんのお皿を洗って、身支度を整えた。
「じゃぁ、京さん!行ってきます!」
「あい、行ってらっしゃい〜気を付けてね」
その声と一緒に僕はマンションを出て急いで学校まで走っていった。
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