連載番外
□ギャンブル。
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仲間の為でも
好きな女の為でもなく。
自分の為に。
【ギャンブル。】
「…三井さん」
「あ?…水戸じゃねーか。どーかしたのか…?」
放課後。
部活に向かう三井さんを呼び止めた。
三井さんは、あの事件で責任を被った俺達に…負い目を感じているのか、
花道と一緒にいる時の様な態度は、俺には見せない。
「ちょっと、話あるんで…来てもらえません?」
「…まぁ、少しなら。」
「心配しなくても、部活始まる前には帰しますよ」
三井さんの前を歩いて…校舎裏へ向かった。
部活前のこの場所なら、志緒も現れはしないだろう。
立ち止まって、振りかえると、三井さんも歩みを止めた。
「…三井さん、昨日志緒に…キスしたらしーっすね」
「っ…なん、で知って…;」
「…なんで知ってるとか、そんな事はどーでもいいんすよ。」
低く、冷たく。
意識したのか無意識なのか、俺の口から漏れた声。
それに少し、三井さんの表情が強張った。
「アンタ、好きなんですか?志緒の事。」
聞かずとも判っているけど、三井さんの口から…はっきりと聞きたかった。
ピクリと、俺の言葉に反応した後。
三井さんは、むっとした顔で、
敵を睨む様な目付きを俺に送る。
「…好きになんのに…お前の了承がいんのかよ?」
ただ、好きなのかと聞いただけなのに…この答え。
『お前』その言葉は、
『恋敵』という意味なのか…
『仲間』もしくは『保護者』という意味合いのものなのか…。
「別に、誰が志緒を好きになろーと…俺には関係ないっすよ。」
…そう。
ソイツが志緒に手を出さなければ。