連載番外
□How about a massage?
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バイト帰り。
気まぐれに志緒ん家に寄って、
余ってたシチュー食わして貰って。
別段いつもと変わらない…そんな日。
【How about a massage?】
時刻はもうすぐ11時。
今日は花道も他の奴等も、志緒ん家には来てなかったらしく。
志緒の部屋で、
俺は煙草、ときどきコーヒー片手に、単車雑誌を捲って。
志緒はベッドの上でなんか本を読んで。
そんな今の状況。
特に会話なんてないけど、まぁいつもこんな感じ。
俺と志緒、2人だけの空間は、いつも静かだ。
短くなった煙草を、いつだったかに持ち込んで、そのままずっと置いてある灰皿に押しつけて。
冷めたコーヒーを一口飲んだ。
これまた持ち込んだ、俺専用のカップ。
その中身はもう、残り3口といった所。
そろそろ帰ろうか、と思い始めた…そんな時。
パタン。
と、本を勢いよく閉じた音がして。
ベッドの上に視線だけ移す。
視線の先で、手にしていた本をベッドサイドの棚に放り、
志緒がおもむろにベッドを降りた。
そのまま何の迷いもなく、俺に近付いて来るもんだから、
俺も雑誌を閉じて、改めて志緒に向き直った。
「洋平、」
「ん、なんだ?」
「脱げ。」
「…………………」
…えーと、
「なんで?」
「いーから。」
「………」
や、「いーから」の意味がわかんないんすけど。
まぁ、志緒が突発的に何か言い出したり?何かやり出したりすんのはもー慣れてますケド?
脱げってなに。
そりゃ志緒が…絶対そーゆー意味で言ったんじゃねーって事ぐらいは、判ってるよ。
判ってんだけどさ。
夜中だぞ?
2人きりだぞ?
男と女だぞ?
狼と獲物だぞ?
脱いだらやる事なんてヤるしかねー。
って…考えちまうんだよ。
ちっとはよ。
そんで、
絶対あり得ねーって判ってんのに、
期待しちまうんだよ。
だって俺、男だし。
ましてや、
イキナリ問題発言かました目の前のバカな女は、
唯一無二の好きな女、だし。