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□僕の欲望、妊娠三ヵ月。
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テレビと外の騒音しか聞こえてこないこの暗い部屋。

カーテンの隙間から漏れる光が辛うじて今が朝だと教えてくれる。

ソファに寝転がって恋人の膝枕に顔を埋めながら口を開いたら無理やり頭を反転させられた。

…首掴むなよー

頭だけそっちを向く体勢はきつかったから、そのまま体もそっちに向けた。


「…ねえねえ了」

「なぁに?名無し」


ゆるりと僕の髪をすいてくる了ににこりと笑いかける。


「僕ね、夢を見たんだ」

「夢?」

「うん」


少しだけ身をよじって、了の腰に腕を回しておなかに顔を押しつける。

了は少しだけ驚いていたようだけれど、一度止まった彼の手は再び僕の頭を撫で始めた。


「どうしたの。今日は変に甘えてくるね」

「こんな僕は嫌?」

「ううん、そんなことないよ。…むしろ嬉しい、かな」


照れたように笑っている了がとても可愛くて僕は腕の力を強くした。


「たまには人肌が恋しくなるときがあるんだよー」

「ふふ、じゃあ僕があっためてあげよう」

「うん!ありがと!」

べろんっ

「ひぅあっ」

「色気がないねー」

「僕に色気なんていらないよ!」


両手は塞がっているから、くちびるで裾をめくっておへそを舐めたら面白いほど身体が跳ねた。

悪戯成功!とばかりににんまり笑って了の顔を見ると、顔が真っ赤に染まっていた。


「ふぇへへへ、舐められるのやだった?」

「い…嫌じゃないけど…っ…びっくりしただけ」


うー、なんて声を出しながら手でパタパタと真っ赤な顔を扇いだ。


「ふふ、ならよかった」

「もー、可愛いんだから」

「可愛くな」
「可愛いってー!でね、可愛い可愛いお嫁さんもらって、双子の赤ちゃん育てるのが夢なんだ」


了の言葉を遮って笑いながら言ったら、真っ赤な顔をしていた了はいつの間にか真っ青を通り越して目に涙を浮かべ、更には泣いていた。


「? なんで泣いてるの?」


よっこらせと起き上がって、薄桃色のほっぺたに舌を這わす。

 …しょっぺえ…


「だって…お嫁さんて…僕から離れていっちゃうってことでしょ?」


そう言ってはらはらと涙を零す了

泣き顔も可愛いなぁと不謹慎な事を思いながらも了をあやすために苦笑を浮かべた。


「そんな、了から離れるなんて僕には出来ないよ」


了の頬に手を添えながら薄く色付くそれに伝う雫を舌で拭って、おでことおでこをコツンと合わせた。


「なかないで。僕はずっと了のそばにいるよ、だから了もずっと僕のそばにいて」

「…うん」

「…ありがとう」


僕は了の肩に顔をうずめながらぎゅっと抱き締めた。

そして…


「…でね、まずは既成事実を作ろうと思ったんだ」


僕は了を逃がさないように、抱きしめる力を強くした!


「…うん?」

「まずは、」













僕の欲望、妊娠三ヵ月。






(了と僕の子供だから絶対にかわいーよ!)
(ちょ、ちょっと待って…ひぁっ!!)
(かーわーいー!)(!!!!!)
 

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