運命

□とある男の足跡
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聖杯の知識により、この土地が冬木という所である事や世界の状況を知った。
こんな自分でも英雄として、英霊として座に登録された。ならば出来うる限り頑張ろうと思うのも必然であったし、何より此度の顕現でならば、己の願いが叶うやもしれない。と淡い期待を抱いたのもまた事実。
ここならば...と探しに探しても捜し物は見つからず。未練がましくこの世にいるシャドウサーヴァントのみだった。そのシャドウサーヴァントの中でも唯一話の通じるわからず屋もいた。

「なんだ。また来たのか?」
『仕方ない...此処には探し物はなかった。ならば還るしかない。然しかと言ってお前達を野放しにもできない。』
「...君を見ているとどこぞの英雄を思い出すな。」
お互いそれ以降は口を開かず、己の武器を構える。相手はアーチャー。此方は此度はセイバーの霊基を取っているので不利ではあるが、まぁ、何とかなるだろう。とした結果、こちらの方が強かったようで、相手は撤退し洞窟の側へと移動。それからそこから動かなくなった。
そこで何かを守っているのだろう。それから少し経ってキャスターの真似事をして見たり、アーチャーの真似事、ランサー、と色々と真似事範囲で進めていった。
自害して戻った所でその先に未来があるとは思えない。
未来なんぞもうない自分がいえたことではないが、自分とは違う未来を歩めるものが終える必要があると判断した。

遠目から眺めてカルデアのマスターなる人物が姿を見せた。彼等がきっとそう。ならば私のすることは一つだけ、彼等の邪魔にならぬように敵を減らすことである。
彼等は恐らくキャスターと思われるサーヴァントと契約をした。そしてこの冬木の地を修復した。
さて、私もそろそろ強制送還される頃合いか...。
目を閉じた─────


パチリと目を開けた。
彼此何度目になることか...然し奇跡的になのかカルデアのマスターたちに会うことも無く、陰ながらほんの些細に手伝いをした。


「...あのさ、マシュ。思ったこと言っていい?」
「・・・?はい、どうかしましたか?」
「冬木は分からないけど、オルレアン、ローマって色々と来たけどさ...敵の数の割合可笑しくない?多いけど、処理出来ないほどじゃないし、ジャンヌオルタも言ってたよね。どこぞの鼠がワイバーンを狩ってるって...」
マスターの言葉にマシュも言われてみれば、と頷いた。
「...あら?あの子は貴方達のサーヴァントでは無いの?物凄い勢いで敵を蹴散らしていたからてっきりそうだと思ったのだけど」
共に行動している、エレナがキョトンとした表情で尋ねてた。
その言葉に2人は詳しく!と食い付いた。
エレナ曰く「まず、性別は男ね。深くフードを被っていたから顔までは分からないけれど、髪は長めで黒かそれに近い青。神性が高かったと言うくらいかしら...あぁ、後はセイバークラスね」との事だった。


ケルト兵を斬って行く。然し女王メイヴの作った兵は殆どと言っていい程斬った数だけ増えていっている気がした。然し此処で削っていればカルデアのマスター達の所に行く数は減るだろう。
そう思いつつ戦っていると、横から物凄い勢いで何かが飛び掛ってきたのを慌てて剣で弾く。
見覚えのあるソレに目を見開き相手の顔を見る。
『...クー・フーリン?いや...』
「ほぅ、俺を知ってるか。同郷か?顔なんざ隠しやがって...」
明らかに異質な彼に驚き、オルタナティブ...と呟けば正解だ。とニンマリと笑みを浮かべた。

ギャリギャリと武器同士がぶつかり合い歪な音を立てる。
技能であればこちらの方が上だっただろう。ただこういった力の押し合いになるとバーサーカーであり、聖杯の力のあるクー・フーリンの方が上であった。徐々に徐々に押されていきあと少しで此方がやられる。そのタイミングで勢い良く前に出て、頭突きをかましてやった。
あまりにも勢いのよかったそれは顔を隠していた簡易的な仮面すら割るほどの威力だった。
「...お前!...そうかい。気が変わった」
クー・フーリンが此方を見て1度臨戦態勢を解く。
「素直にこちらに来い。丁度セイバー枠は空いている。なんならランサーで来るか?メイヴに言えばどうとでもなるだろう」
『...は?私がそちらの陣営に入れと?』
有り得ない。と拒否をすればそれの方が有り得ない、と首を振られた。
「こっちは“ケルト”の陣営でアレは烏合の衆だろう?お前が来るのはこちらしか無い」
『私が誰か認識しているようで...ならば分かるでしょう?貴方が居る時点で私はそちらには行けないのです。』
「ならばあちらにも行けないだろう?あっちにも少なくとも1人はいるようだしな。それに、俺はメイヴの理想のクー・フーリン。所詮は作り物だ」
『・・・。』
「作り物なら何ら問題は無い。そうだろう? ...」










「マスター!女王メイヴの反応が消えました!残るはクー・フーリン・オルタのみです!」
マシュの言葉によし!と皆に声援を送れば皆が皆武器を構えオルタを睨み付ける。
「俺一人...か。残念だがそいつはハズレだ。」
クー・フーリン・オルタがニヤリと笑い殺れ、と一言だけ述べた。
するとホワイトハウスの屋上から何者かが降ってきた。
慌ててマシュが盾でマスターを庇い振り払えば、オルタの傍に着地した。

「あのサーヴァントは見たことがありません。」
ナイチンゲールがジッと彼を見つめる。然しふとエレナの言っていた存在を思い出したのだった。
「あっ!エレナが言ってた野良のセイバー!?オルタの方に付いたのか!」
『・・・・・・。』
「あぁ?違う。其方に味方出来なくなっただけだ。それ迄はお前らの味方だった。」

こちらが引き抜いたのさ、とオルタがその人物の頭に手を置きさすさすと頭を撫でる。
どんな関係だ...とロマニも気にしていた。
激戦の中今までにない程の強さを示したクー・フーリン・オルタは敗北した。残るはセイバーのみと全員武器を構えるが、一向に此方に向き直らない。
そして

『あぁ、あぁ...もしあの時私が勝っていればこんな気分だったのでしょうか...底なし沼に嵌っているような、重く苦しくやるせない...不思議な気分です...』
「最初迄は味方だったアンタが如何して敵に回ったのか聞いてもいいかい?」
キャスターのクー・フーリンの言葉にゆっくりとマスター達に向き直り、キャスターを指さす。

『貴方が居なければ私は今も味方していたでしょうね。あぁ、誤解なきよう。貴方の存在が疎ましいからとかではなく、私の都合上そうなのです。寧ろ私は貴方には敬意、尊敬を持っている。お許しをカルデアの若きマスター。この方が居なければ私は今貴方達に名乗り上げられた。』
「名前すら名乗れないの?」
マスターの言葉に落ち込んだような雰囲気をする人物。然しそこで強制送還が始まったのだろう光の粒子になりつつある彼はマスター等に振り返り

『クー・フーリンが前では私は“名乗り上げれない”。ならば私の母の名を残しましょう。ですがどうか私を探さないで...愚かな私を。“オイフェ”の呪(まじない)を...貴方様に良き未来があるよう...』
「...オイフェだと!?おい!お前さん...!?」
『作り物...座(あちら)に行っても会えないのでしょうか...父上。貴方とならゲッシュは無効だったのでしょうに...いや、クー・フーリンな時点で作り物だろうと駄目なのでは?』
しまった、という雰囲気を出して彼は送還された。
後に無事召喚されたオルタのクー・フーリンがカルデアの食堂を見渡しこう告げた。

「...なんだ。“コンラッハ”はまだ来てねぇのか?」
「こんらっは?だぁれ?」
オルタが呆れ顔で俺の所に居たセイバーの名前だ。と告げればガタガタっとランサーとキャスター、プロトが動いた。何なら離れた所のスカサハ達も反応を示した。

「アイツやっぱりそうだったのか!オイフェの名を出したからもしやと思ったが...」
「キャスニキの知り合いなの?」
「知り合いなんてもんじゃねぇさね。俺の子だ。一緒に暮らしてたとかじゃねぇからな?寧ろゲイボルグで穿った戦士だ。俺よりも上を行く...な。」
マシュが補足としてマスターに説明した。名乗りあげてはならないというゲッシュを立て、クー・フーリン。つまりは父親と死闘を繰り広げたと。全てにおいてクー・フーリンの上をいったが、ゲイボルグはスカサハがクー・フーリンに与えたので修得しておらず、それにより死亡したと。諸説ありクー・フーリンは彼が自分の子だと知っていたものと、或いは知らなかったものと、があるそうだ。

「...ねぇ、頑張って召喚出来ないかなぁ?もう名前知っちゃってるんなら名乗りあげれないとか関係ないもんね!無効無効。それともう時効だよ!」
「マスター...いっそ清々しいわ!まぁ、確かにそうだわな。もう1回死んじまってるんだしな!」
ランサーがケタケタ笑い、よっしゃ!召喚業務と行きますか!とマスターの肩を力強く叩いた。



『・・・サーヴァントセイバー。真名を...っと、失礼。どうやら名乗り上げることが出来なさそうです。...まさか私を呼ぶとは。触媒はクー・フーリンですか?』
「ニキィイイィィ!来たよぉォォオオオ!」
マスターの叫びにビクッ、と肩を上げて驚くコンラッハ。その後にドタドタドタッと扉の前で凄まじい音がしたかと思うと勢い良く開き、よく似た、いや同じ顔が仲良くやってきた。

『え、えぇ〜っと...クー・フーリンがいち、にぃ、さん...よん?』
「おう!俺がランサーでプロトタイプ。こっちがランサー、あっちが...ってキャスターとオルタは知ってっか!んなこたぁどうでもいい!よく来たなコンラ!」
『...あ、その...名前...』
「こちらが名を知ってる。それにもう無効だろう?」
『無効って...貴方達犬のゲッシュとか目下のとかまだ守ってらっしゃるでしょう?』
「お前さんは嵌められたのさ。もうそんな戦士なのに名乗りあげられねぇ様なゲッシュは無視だ無視!」

彼、コンラッハが来てからは、息子だと気付き名乗り上げられることも無く終えてしまった、終えさせてしまったからなのか、クー・フーリンは珍しい程に溺愛していた。
もう、子供が大好きな親バカな父親だった。
珍しくもスカサハも同じく弟子バカになっていた。どうだ?私の弟子は優秀だろう?どこぞの馬鹿弟子とは大違いだ。
ふふんと胸を張り自慢し出す始末。師匠といえど譲れねぇ、何だやるか?セタンタ。と応酬が始まりその後ろでオドオドとどうしたら良いのか困惑するコンラッハをオルタのクー・フーリンが避難させる。
それと同時にキャスターもよしよしと髪が乱れない程度に優しく撫でていればランサーが気付きズルいぞ!と文句を垂れれば師匠とおっぱじめるんだろ?俺は槍ねぇからパスな。と撫でぐり撫でぐりしていたその横でプロトがこういう時だけは槍無いのアピるのな。とコンラッハの手を握りながら言うのだった。

『え、えっと...お師匠様、槍のクー・フーリン様...が、頑張って下さい...これでいいのでしょうか父上?』
「上出来だ。」
「なんでオルタだけ父上呼びなんだよ?」
『それは「言う必要は無い。」え?その...ゴメンなさい』
「そうかよ...なら俺も呼んでくれよなあ?いいだろ?」
『い、いいのですか?!...キャスターの父上...って感じではないので、キャスターのお父様ですね。許可が下りればランサーの父上にプロトの...見た目が若いせいもあって父と呼ぶのがはばかれるのですが...』
「ならプロトは兄でいいんじゃね?」
『兄上?』
「ん?おう、いいんじゃね?俺若い時のだからよ、いまいち子供がいるのがしっくりこねぇからなぁ」
プロトの言葉にではそれでお願いします。と彼らを見上げて微笑んだ。

「うぅ...親子尊いよォ...良かったね、コンちゃん」
「先輩。それだと狐か何かのようです...ですが、本当に良かったです。」
立香とマシュの視線の先で楽しげにしているケルト勢を見て、顔を見合わせて微笑んだ。



〜おまけ〜
「やだ!このクーちゃんリリィなの!?セタンタちゃんなの!?」
『あ、あの...えっと...む、あ、当たって...あぅぅ...』
「メイヴ、妾のコンラが困っているだろう?」
『お、お師匠様!』
「むぅ!何よ!クーちゃんでは無いのね。コンラちゃんね?...私はメイヴ、女王メイヴよ?コンラちゃん私の事はメイヴちゃんって呼んで頂戴?」
『と、歳上の女性にそのように馴れ馴れしく...いえ、ですが、読んで欲しいと言われているのですから...わ、分かりました。自分はコンラッハと言います。よろしくお願いしますメイヴ...ちゃん』
「あぁん!もう可愛すぎよぉ!」
「だから何度も言っているだろう?抱きつくなと。」
「コンラ、来い。いいか、メイヴとスカサハの争いには近寄るな。」
『あっ、父上...は、はい。』
「気の強い女同士火に油を注ぐ様な関係だからなぁ...にしても、お前さん胸から胸へタライ回しにされてラッキーだったな」
『な、ななな!?』
「槍の俺、コンラは初心なんだからそういう事言うなよ。」


無茶苦茶簡易設定
コンラッハ(コンラ)
父親より神性高い(オイフェ効果)
無茶苦茶美人でどちらかと言うと女顔寄り(オイフェ効果)
殆どの適正持ってる
持久戦が得意(クー・フーリンと手加減して戦闘していた逸話の為)
18〜25歳位のイメージ
最終再臨迄いったら髪伸びる
初期(父親寄り)→最終再臨(母親寄り)
頭いいけど結構脳筋(力で実力の証明をしていたから)

クー・フーリン【オルタ】
自分の子だと知って半狂乱になって敵味方構わず攻撃したと言う話の時のクー・フーリンを媒体にしてる(今回の話内では)のでコンラ大好き。分かりにくいけどもう絶対死なせないマン。
父親風を利かす(オルタ>ランサー>キャスター>プロト(兄貴風))
キャスニキは一周回って落ち着いちゃった。それでも可愛くないとは言っていない。



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