短編

□運命の出会い
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「今日もドラマのロケなんて…ホントめんどくさい!」



僕はスケジュール帳を見てつぶやく


そんな僕を見て隣にいた星野は声をかけてきた



「まぁまぁ夜天!

もしかしたらいいことあるかもしんないだろ!」


「…そんなことあるわけないじゃん……たとえばなに?」


「たとえば?…運命の出会いとか?」



星野は僕をバカにしているのか、ニヤニヤ笑いながら言う



「ばからしい、早く行こう大気!」


「星野もあんまりバカみたいなこと言わないで早く準備してください」


「なんだよ2人してばかばかって!」



ぎゃーぎゃー言う星野は無視して、僕はロケバスに乗った


ふ、と空を見ると僕の心とは裏腹に、雲一つない晴天だった









「それじゃぁ15分休憩してください!」



監督からそう言われて僕はすぐにサングラスをかける


早くこのうるさい女の子たちから離れて静かな場所に行きたかった





「ふぅ…」



僕は一息ついてベンチに座る


疲れた……


なんで僕がこんなことしなくちゃいけないの


はやく……はやく…


僕たちの歌に気付いて…



「っあ!」



突然目の前に女の子が現れる(全然気付かなかった…)



「……なに、今は休憩中だからあっち行っ……「動かないで!!」………は?」



その女の子は僕の肩に手を伸ばす



「ちょ…やめてよ!」



僕の言葉を無視して女の子は僕の肩に振れ、何かをはたき落とした



「…とれた」


「……なんなの…」


「いも虫がついてましたよ!」


「…………」



全身に鳥肌が立つのがわかった


女の子なのによく触ったよね…



「じゃぁ通りかかっただけなので!さよなら!」


「あ、……」



女の子は走ってどこかに行ってしまった



不思議な女、だけど




笑顔はプリンセスみたいに綺麗だった




「運命の出会い、か」



朝、星野が言ったことを思い出した



「名前も聞いてないし、お礼も言ってないし」




次はいつ会えるかな、なんて考えながら僕はロケ地に戻った









次の日、転入したクラスにその女の子がいたなんて、本当に運命みたいだ







ホームズ少年の〜…の話の設定になっております



 

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