短編
□帰りたくない、帰らせない
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「もうこんな時間か…送ってくからもう帰れよ!」
「……うん…」
私は正直帰りたくなかった
すっと星野と一緒にいたかった
だけど、彼はアイドルだし、会える時間も決まってる
わがままなんて言えなかった
私は星野より先に靴を履き終え、
玄関のドアノブに手をかけた
だけどそのまま
動けなくなる
「星野?」
星野が後ろから抱きしめてきたからだ
「……帰らせたくねぇ」
星野がものすごい小さな声で言う
「…私も帰りたくないよ…」
「………じゃぁさ」
私は星野の方に体を向かせられる
星野と視線がぶつかる
そらせない
星野はゆっくり口を開いた
「ここで一緒に暮らそう」