Short Novel

□お菓子くれなきゃ
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10月31日
AM 8:00

「・・・・・」

こんこんこんこんとドアをエンドレスで
ノックされ、低血圧の人間を叩き起こす、
(しかも休日)人間を火だるまにしてやろうと
ばんっっっとドアを開けた。


ドアを開けたまま、絶句していた棗は、
寝起きの頭ではとうてい理解できない
にこにこと笑っている恋人の
服装を見て、目を閉じてため息をついた。

「・・・なんのまねだ」
「とりっくおあとりーと!!」
「・・・」
「せやから!棗!!とりっくおあとりーと!!」
「帰れ」

ドアを閉めようとすると、蜜柑が足を
使って阻止すると、にこっと笑う。

「お菓子くれなきゃイタズラするで」
「できるもんならやってみろ」

寝ボケ眼のようだった棗の紅瞳が、
笑うと蜜柑の腕をつかみ、逆に部屋の中に
引きずり込んだ。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「イタズラすんだろ。おらやれよ」

その日の夜、蜜柑は着ていた黒猫の
ボロボロになった衣装を片手に、棗の服で
部屋に帰ったらしい。

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