THE OTHERS

□さいあいのひと
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はじめて愛した他人(ひと)だった。

特殊な力を持った私を、当たり前に受け入れてくれた。彼女は私の特別だ。

彼女をそういった意味で手に入れることができないのは、最初からわかっていた。また私もそういう欲を伴って好きなわけではないと思う。ただ、ずっと一緒にいたかった。
世界で一番大切なひとだった。


透くんがいつか離れていくのは、彼が来てからは、なおさら明らかなことだった。
透くんが彼を好きになったことに、最初に気づいたのは自分だろう。当の透くんよりも先に気づいた。力のせいではなかった。ずっと見ていれば、嫌でも気づいた。


かずまさんの第一印象は、透くんに似ている、だった。包み込む春の日差しのようなひと。無条件にその胸に飛び込みたくなるような、ひろく大きなひと。透くんが母を連想させるなら、かずまさんは父を連想させた。


ただ、それだけではなかった。
かずまさんを素敵だと思ったのは、漏れ出るような優しい声に惹かれたのはもちろんだけれど、彼と結ばれれば透くんの義母(はは)になれるという打算があったことは否定できない。


透くんのかぞくになりたいの


そういった私にかずまさんは微笑った。


お互い、一番でなければならないということはないでしょう。


私たちは結婚した。互いに惹かれているのは確かだ。愛していない男に抱かれる趣味はない。だが、私たちの一番は、私たちでない。


「かずまさん、透くんたちからお中元だわ」
「ああ、今年は何かな」
「なんでしょうね、何にせよお礼を言いに行かなくてはね・・・」

顔を見合わせて微笑みを交わすのは、嬉しいからだ。一番愛している人に会う口実ができて、私たち夫婦は幸せを感じた。








言い訳

読んだとき、花島さんが一目惚れ的にかずまに惚れたのを、かなり意外に感じました。
彼女の力を考えると、純粋に一目惚れとも言いきれませんが、一目惚れしてその後すぐアタック開始というのは花島さんらしくないとなんとなく思ったんです。

その前からかずまは透に似ているなという感想もあって、結果よくわからないちょいダークな代物が出来上がりました。

これ、読む人が一人でもいるんだろうか‥‥。
ここまで読んでくれた方に感謝いたします。
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