《Love Get》

□3
1ページ/1ページ

そう言うやり取りをしていると、いきなり後ろから肩をガシッと包まれるように回された。ツナも同じような目に合ったらしく俺と同時に後ろを振り返った。

『オス!ツナ獄寺!今登校か?相変わらず仲良いよなー』

気の抜けそうなくらい能天気な声……そんな人物は自分達と接点がある人達の中でただ一人しか知らない。


『山本!?』
『何だよツナ そんなビックリすんなって傷つくなぁ』


山本はツナの親友だ。前にツナが不良から絡まれたトコを通りかかった山本が助けたらしい…いつもは俺が助けてやってたんだが丁度そん時 運悪く俺は居合わせてなかった。だから他のヤツに助けられてたと聞いた時はホッとしたがそれ以来仲良くなりだしたツナ達を見てると何故だか異様に腹が立った。きっと山本とは根っから馬が合わねぇんだな。この能天気な声も何も考えてなさそうな口調も全てが気に食わない。


『気安く触んじゃねぇ離しやがれこの野球バカ』
『まぁまぁ良いじゃねぇか』
『良くねぇ!』


言い合いになる俺と山本を目を丸くしてツナが見ている。

『山本今日 部活じゃないの?』 『おぅ寝坊しちまってな…今日は休んだわ』



ツナが話しかけると漸く俺の肩から重みが消えた。


『そうなんだ?珍しいね山本が……………あっっ!』

『『……?』』


続けられる筈だったツナの言葉が途切れた。不思議に思った獄寺と山本がツナの目の先を追おうと後ろを振り返る。何人ものこの学校の生徒達がこっちを見つめてウズウズしている…正確に言うと…見つめているのはツナただ一人。


『…………あれは』


もうすっかり見慣れてしまった“ツナに告白し隊(たい)”の人達だ。獄寺と山本は半目でツナを見る…やはりツナの顔は 今から敵陣に乗り込むような険しい表情だった。意を決したように顔をバッと獄寺に向けるとはっきりとした声で叫ぶ。


『ご主人様っここは危険です!先に教室へ上がって下さい!山本ごめんご主人様をお願い!』


そう言うとツナは自分に恋心を抱いている生徒達の方へ走って行った。手には砂やら石やらが握られている…まさかそれで倒すつもりなのか。数秒後、振られた〜と泣きながら他の生徒に抱きつくツナのファンの姿が見受けられた。その様を見て山本が獄寺に呟く。


『ツナってさ……微妙に…天然だよな』
『微妙にじゃねぇ、ありゃ間違いなく天然だろ』

全員を倒したのかツナが砂だらけになりながら安心しきったように自らの額を拭う。獄寺がまだ居たこと…自分の方を見ていた事に気がつくと主人を見つけた犬のように嬉しそうに走って来た。


『ご主人様〜』

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ