《Love Get》

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『お怪我はございませんか?』 『……………………。』

その台詞そのまんま返すぜ。普通は今にこにこと笑って俺に話しかけてくるツナにこそ聞くもんだろ。いつも思うが何故こいつは自分のファン(ツナ曰く“ご主人様の刺客”)を追っ払う時、砂の石しか手に持ってないんだ?それだけで万が一ホントに誰かに襲われでもしたら怪我だけでは済まないのではないか。


『良かったぁ。山本、ご主人様を守ってくれてありがとう』
『いや別に俺は何も…』


コイツのこの天然ぶりがどうか治らないものだろうか。



キーンコンカーンコーン

ごちゃくちゃ話してるうちに学校のチャイムが鳴った。それと同時に学校の正門が閉まり始める…ツナと山本が焦った声を出した。

『うわっヤベー』
『わぁ!ホームルームが始まっちゃいますー』
『あ?別に良いだろ、ンなもん出なくったって』



俺には焦る意味が全く分かんねぇ。まぁ元が真面目だかんなぁコイツらは……。


『ご主人様!正面突破です!』 『走るぜ獄寺!』
『あぁ?ンで俺までお前らと一緒に…ってうわ!』


そもそもホームルームなんぞ出る気のない俺は面倒くさそうな声で2人に言葉を投げ掛けるがそれが最後まで続けられる事はなかった。右に居る山本、左に居るツナ、両側から腕を取られ思いきり前に走り出したからだ。


『うわっちょいお前ら!』
『あと少しだぜ!』


バタンっ

『うわ!』
『きゃ!』
『っとセーフ!』


門が閉まると同時に俺らは学校敷地の門前に倒れ込んだ。何とか間に合ったらしい。


『ったくお前らはントにっ…』 『あれ?ご主人様何か怒ってらっしゃいます?』
『はははっコイツ、カルシウム足りてねぇだけだって〜』



何で…何で俺は…コイツらと一緒に吊るんでんだ?

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