《氷の守護者》
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事の始めは…我等がボス…沢田綱吉の氷症から始まった。
その日は何も変わらない、いつも通りの1日であった……朝、いつも通りに獄寺がツナを迎えに行く。山本が加わり獄寺と言い合いになる。昼、獄寺が購買でソーメンパンを入手する…ホントに…全てがいつもと同じだった。
その日常が一瞬にして覆えされたのは午後…ボンゴレ10代目ボス、沢田綱吉と嵐の守護者、獄寺隼人、雨の守護者、山本武。3人でお昼を済ませ教室に帰っているところだった。
『あっっ』
教室に繋がる階段を下りている途中、突然ツナが声をあげた。思えばこの時だったかもしれない…全ての歯車が周り始めたのは…。
『…?ツナ…?』
『…どうかなさいましたか10代目?』
獄寺と山本が振り返るとその声の主は罰が悪いような表情をしていた。
『ごめん!屋上に弁当箱忘れちゃった!取りに行くから先教室戻ってて!』
ツナは片目だけを閉じ、両手を合わせて顔の前に持っていき少し俯き加減に謝った。
『わぁーった』
『では10代目、先に行ってますね。お気をつけて』
『うん、ごめん!』
仮にもボンゴレのボスである彼がいくら学生だからとはいえ、護衛もつけず一人で行動するなど考えられないのだが…人に迷惑かけるのを極力避けたがるツナの性格を考えると自分で取りに行かなければ気が済まないであろう。仕方なしに獄寺と山本は引き下がるのだった。
『んじゃまたね!』
明るく手を振り、かけて行くツナを見送り、何事もなかったように獄寺と山本は先に教室に戻る…。まさかこれが最後の姿になるとは…誰も思わなかったであろう。