《氷の守護者》

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カチャ

『うわっ何だこの冷気は!』
『流石に寒ぃなこれは…つか今春だよなぁ…何でこんなに寒ぃんだ?』
『ンな事知るか!』


屋上のドアを開けた瞬間…まるで真冬のような強い寒さに襲われた。あまりの冷気に2人は無意識に身を寄せあった。それくらい寒いのである――ついさっき3人でお昼を食べた時は春独特の暖かい空気が吸えてた筈なのに…。


『…………………』

突然山本の動きが止まった。視線はある一定の方向を見つめている…身動き一つしないその様子を獄寺は不審に思った。


『…?…どうした山本…』
『なぁ……あれ、…何だ?』
『…あ……?』


未だ何を言いたいのか分からないが獄寺も山本の見つめる方向を見た………何だ?…何か黒い大きな物体が屋上のテラスき立ちはだかっている。こんな場所に障害となるような器具は置かれてなかった…獄寺と山本はその物体に向かって走る。


『なっっ!!!?』
『……っっっ!!』


近くなるにつれて段々その物体がよく見て取れるようになった。それは自分達がよく知るもの…いやよく知る人で………。

『ツナっ!』『10代目!』



それは自分達が探していた人物―――お昼の後、弁当箱を取りにと別れた沢田綱吉だった。

ツナの肌の表面には氷がはっていた。丁度冷凍庫に肉を入れた感じだろうか…それはもう地面に叩きつければ割れるくらいカチコチに……。ツナは目を見開き右手を宙に浮かしたまま固まっている。一体何があったのだろうか…。

獄寺は焦りツナを…
いや…最早“沢田綱吉”ではないのかもしれない。…氷と化したツナを抱き上げた。

『10代目っ10代目っっどうなさいました10代目っ!?』

ツナからは人肌の温もりが感じられなかった。


『おいツナどうしたんだよ!目ぇ開けてくれよ!』
『目は開いてんだよ野球バカ!!!』


そうだ…凍ってはいるが死んでいる訳ではないのかもしれない。

『おい山本!10代目を俺ん家まで運ぶぞ!!!とりあえず氷を溶かすんだ!』

『あぁ分かった!』


2人はツナを抱え、屋上を後にした。

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