《氷の守護者》
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『……………………』
『…………10代目……』
現在…授業を抜け出してきた獄寺と山本は学校から一番近いマンションに住む獄寺の家でツナの氷を溶かそうとストーブにオイルヒーターに暖房と言う暑苦しい中で悶々と息を針つめてツナを見つめていた。
もう下着だけでも良いくらいの暑さになり、獄寺も山本も徐々に汗だくになってきた時分…ツナは氷に覆われたままだった。
『っっっくそっ』
『何で溶けねぇんだ!?』
いくら温めても一行に溶ける気配がない―――次第に獄寺と山本に焦りが生じてきた。
『何で10代目がこんな事に…一体誰が………っ』
ボンゴレ10代目であるツナはことごとく命を狙われてきたが 未だかつてこんな目にあった事などなかった。そもそも身体を凍らされるなど前代未聞の話だ――と言うかそんなパターンを考えた事すらない。そこでふと獄寺の脳裏にある男の顔が浮かび上がった。
『まさか…っ』
獄寺は前に一度…こんな真似が出来る男に接触した事がある。それは人・物問わずこの世に存在する物体全てを凍らす事の出来る男――――――マフィアを追放された今や伝説として名を馳せている。
『まさか…アイツがっ』
『お、おい何だよ獄寺』
急に核心つく手前のような獄寺の言動に山本まで焦る。
『いや信じれねぇ話だが………でもまさか…』
『そのまさかだぞ』
『『っっっ!』』
予測だにしなかった第三者の声に2人して同時に振り返った。そこには自分達よりも小柄…だがどこか威厳のある黒スーツを着た赤ん坊………。
『リボーンさん!』
『小僧!』
現在氷となった沢田綱吉の家庭教師である一流のヒットマン…リボーンだ。
『あいつが蘇ったんだ。まさかもう日本に来てるとまでは思わなかったがな…』
『どう言う事なんですかリボーンさん!あいつが蘇ったって……』
『おい小僧、獄寺…“あいつ”って一体誰なんだ?俺にも分かるように言ってくれよ』
当然の事ながら山本には獄寺達が何を言っているのか さっぱり分からない。リボーンはニヤリと笑うと話し始めた。
『どの道ツナを溶かす為には“ヤツ”に出会さなきゃいけねぇんだ。山本、まずは最優先すべき事を考えろ』
『わ…悪ぃ…』
見るからに自分よりも年下の男に偉そうに言い咎められ、普通ならば怒って当然なのだが山本は心から反省する謝罪をした。
『アイツが現れそうな場所…学校の屋上だな。ツナはここに置いていけ…とりあえず屋上に行くぞ』
『えっ!?10代目を置いて行くんスか?』
『大丈夫だ。ここにいれば恐らくヤツも手出しはしねぇ』
それだけ言うとリボーンは背を向け出て行った。獄寺と山本も顔を見合わせると すぐにリボーンの後を追いかけた。