《並森生徒会執行部》

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『おぉ沢田くん来たかね。お疲れさん』

目の前にいるのは陽気なおじさん…じゃなくて本校理事長です…一応。

『生徒会予算について少し訂正したいところがございまして…6月から俺達本部はバライタル・ホテルで長崎北島学園との話し合いがあります。ですから…』

俺が話をしている間、副会長の獄寺先輩は俺の3歩後ろに下がって立っている。前からそうなのだが俺が校長や理事長と仕事の話をする時は必ずと言って良い程このような行動をとる。何故なのか聞いても“貴方の隣に立つのは恐れ多い”とか…とても先輩が後輩に言う言葉とは思えない返事が返ってくる。だが俺と話す時や歩く時だけは普通に隣に立ってるんだよね…この先輩の声だ…多分俺を御守りするためーとか言うんだろな…。


『分かった。予算を上げておくよ…わざわざご苦労だったなぁ…』
『いえ、仕事ですから。お忙しい中…時間を取りまして申し訳ありませんでした』

『いやいや…助かったよ…年を取るとどうも頭が回らなくてねぇ』
『そんな事はありません。役員はいつも理事長先生に助けて頂いてます…それでは、まだ仕事がありますのでこれで失礼します』



一応これで予算の話は終わりだ…。後は山本先輩の帰りを待ってアンケート集計をするだけ…と。
パサッ

『うわっ』
『春風は冷えます。お風邪をひかれては大変ですから……』

いきなり獄寺先輩は俺の肩に自分のスーツの上着をかけてきた…。こう言うとこ…優しくてカッコイイんだよなぁ…こんなとこ獄寺先輩ファンクラブの生徒に見られたらどうなるんだろう…あまり考えたくないな…。


『あ…ありがとうございます。でも獄寺先輩は…?』
『俺は大丈夫です。貴方の方が大切ですから』


ニコッとキラキラスマイルで微笑まれると一瞬騙されそうになる…これが生徒達の間で無表情しかしない冷血な美丈夫と呼ばれる獄寺先輩なのだろうか…。


こう言うところが本当によく分からない…。

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