《並森生徒会執行部》

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『あぁ〜空が青ぇなぁ』

現在は現国の授業中なのだが受ける気にもなれず俺は屋上に来て寝転がっていた。


俺の名は獄寺隼人…2年生徒会役員副会長だ。生徒会役員はいつも立候補ではなく推薦で決まる。何故か本人の有無は無視してだ…一番投票の高かったヤツが役員になる。選挙ん時、普段学校には登校しねぇ俺が何故推薦されたんだ?と思ってはいたが どうせ落ちるだろうと確信していた…だが言うに事書いて俺が生徒会役員になっちまったんだ。俺以外に役員になったのは同じ学年の山本、それから3年の雲雀と骸だ。何故あいつらがなったのかも分からねぇ…天然・ナルシスト・変態っつー言葉を具現化したような連中だぞ?――当然俺はおりる気満々だったのだが役員は全員で5人…5人居なければならない。だが当然したのは俺も含めて4人だけ。俺が居なくなれば更に人数不足となる。だから役員が見つかり次第俺は辞めようと思っていた。




そして4月…新入生が入って来た。入学式の日、生徒会恒例の会議の最中…骸のヤツが1年に気に入ったヤツが居たから会長にしたいと言って来た。放課後にソイツを連れて来た…その瞬間俺の中で何かが溶け暖かい甘酸っぱい気持ちになった。そう――今まで誰ともつるもうとしなかった、人に興味なかった俺が恋をしたのだ。

ソイツの…その方の名前は…
沢田綱吉さん…。

ふわふわしたマロン色の御髪、桃色の頬、アーモンド型の瞳…はにかんだ笑顔は天使の微笑みのようだった。初め会長になってくれと俺らが頼んだ時は“俺なんて”とか“先輩方の中に1年の俺が入ったら…”など断ってたのだが吉祥寺が執拗に誘い続けた結果 やっと折れてくれたと言うとこか…。それからの沢田さんは素晴らしかった。俺らより年下だなんて思えない程の活躍ぶり。理事長からも多くの信頼を寄せてらっしゃる。しかしそのしっかりした一面とは裏腹にドジなところもあるのだ。何もない所で転んだり…何もない所で転んだり…何もない所で転んだり…とにかく俺の心を和ませるまさにオアシス。


だが生徒会の他のメンバーも沢田さんに気があるらしいのだ。その行動が腹立つと言ったらねぇ!沢田さんを御守りするべく俺は今日も彼を護衛する。



『きゃあ、っっ』
『っっ沢田さん!?』


考え事をしていたその時どこからか沢田さんの声が聞こえてきた。間違いねぇ俺が沢田さんの声を間違う訳がねぇ……でも一体どこから…?

『痛ったたぁ〜』

っっ下だ!

俺は起き上がり屋上からグランドを見下ろすと…いた。沢田さんを見つけた。どうやら現在1年生はサッカーの授業中らしい。うちのダサい体操着も彼が着たら一つの可愛らしい人形のようだ。映えてみえる。俺も思わず頬が緩んだ。…とその時だ。


カシャッ


カメラのシャッター音……こんな不吉な予感がするのは初めてではない。思いきり後ろを振り返った。そこには女性なら誰もが気絶する程の美形が…

『骸!テメェ何してやがるっっ』 『何っ…て…綱吉くんを撮ってるに決まってるでしょう』

ニコッと笑顔で言われても言ってる内容してる事は犯罪並だ。



『テメェまさか…また沢田さんをっっ』
『当たり前です。今撮っておかないと無くなりそうなんでね』
『ふ…ふざけんなぁ!』



俺が骸に掴みかかった瞬間、屋上から…落ちてしまった。

『『うわあああああぁ』』

俺らどんだけ馬鹿なんだよ!沢田さんの前で情けねぇ…


ドカンっ
1年の体育の授業の中に俺らは落ちてしまった。途端に女生徒達のざわめきが起こる。



『獄寺先輩!骸先輩!?だっ大丈夫ですかっ』


沢田さんの果汁が飛び散ったような綺麗な声が耳に響き…意識を失った。

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