中編

□口付けで君の言葉を奪う
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私のどこが好きだ…?



私が問うと名無しさんはいつもはにかんで


“全部好きだよ”

なんて言う。

そりゃ私だって名無しさんの全部が好きだ。
だけどこんな私でも、柄にも無くもっと具体的にどこが好きか言ってほしいとか、もっと名無しさんから愛の言葉が欲しいとか思うことだってある。



「名無しさん…私のどこが好きだ?」
『またそれ?全部好きだよ。』
「全部は無しだ。具体的に。」
『具体的って言っても…』


う〜ん…と唸りながら頭を捻る名無しさん。
そんな仕草も可愛い。



そもそも名無しさんは風越女子麻雀部の部員だ。
普段は部員とコーチ。

部では私の面子の為だと他人行儀な名無しさん。


こうしてふれあうことも私の家でしか出来ないというわけだ。


『…やっぱり全部好き。』


頬を染め、呟く名無しさんはそれはもう全世界に自慢したい可愛さだが、今日はこれで逃がしたりしない。


「ちゃんと言わなきゃ襲うぞ。」
『言っても襲うじゃん…』


明日は日曜日。
丁度良いから名無しさんと愛を育もうか…
何て思いを巡らせていると…













『久保コーチの…変態な所がちょっと嫌い…』











「ふーん…どの口が言うんだ?」



生意気な口を塞ぐ。


『…ん、ぅん、はっ…』

厭らしい水音を立て名無しさんの舌を絡め取る。

息が続かなくなったと私の方をトントンと叩く名無しさんを解放する。


『…っはぁ、やっぱり…変態、だ、んぅっ…!』

口を開けば生意気な文句ばかり。
少し苛立って再び名無しさんの口を塞ぐ。



やはり…というか私はSっ気があるらしく、好きな子程虐めたくなってしまうタイプだと思う。


上気した頬、潤んだ瞳…


名無しさんの全てが私の欲情を掻き立てる―


「…っはぁ、で、私のどこが好きだって?」


『…へ、んたい…はぁ、はぁ。』
「ん、変態な所か…?」
『違っ…ふ、んぅ…』


口付けで君の言葉を奪う


(まだまだ夜は長いぞ。)(でも実はコーチのこんな変態な所も大好きなんだよね…)
 

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