中編

□鶴賀
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『名無し名無しさんです…よろしくお願いします。』



桜咲く四月―


私達は二年生に進級し、麻雀部も新入部員を迎えた。

名無し名無しさんと津山睦月。

設備も整っているとは言えないこの部になんと二人も入部してくれたのだから、未来は明るい。
まぁ、団体戦出場にはまだ人数不足だけど…





「ゆみちん、どうだった?一年生は…」
「あぁ、ここは田舎だし、麻雀に関しては無名校だ…二人も入ってくれたのは正直驚いた。」


一年生達が帰った部室でゆみちんと二人、名無しさんと睦月について話す。


「二人とも中々上手いし、冷静で性格も良い。」
「ワハハ、言うこと無しだよなー。」


四人揃ったし、早速新入生と打ってみた。
二人とも中々良い感じで今後が楽しみだ。


「でもなぁ…名無しさんは勝ってもあんまり嬉しそうじゃなかったなぁ…」



そう、気になることが一つだけ…


名無しさんは冷静というかクールというか…無表情というか…




「緊張していたんじゃないのか?」
「そうだと良いけどなぁー。」



名無しさんは口数も少ないし、表情も変わらない。





そんな名無しさんが…


いや、そんな名無しさんだからこそ…


気になったのかもしれないな。


「よーし、こうなったら名無しさんを笑わせてやるぞー」
「何だそれ…」
「ワハハ、楽しそうだろー?」


君の笑顔が見たいだけ


こうして私の“名無しさん笑わせ”作戦が始まった―
 

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