中編

□は
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ある日の放課後―


「『こんにちは。』」
「ワハハ、やっと来たかー。」
「遅かったな二人とも。」


いつも早くに部室に来ている後輩二人が今日は揃って遅かった。
ゆみちんとどうしたのかと心配していた所にタイミング良く二人が登場した。



「すみません、日直の仕事が終わらなくて…」
『……わ、私のせいです!!』



普段大人しい名無しさんが睦月を遮り叫ぶ。
…と、言っても一般人のごく一般的な声量程度だけど。


『私が…グズグズしてたから睦月が手伝ってくれたんです。』
「なぁ、名無しさん。何か元気無いな。何かあったか?」



最近名無しさんの動作や声色から名無しさんの表情が読めるようになった。


名無しさんの元気が無いのは、自分のせいで睦月が部活に遅れたからだけじゃない…

もっと違う原因がある気がした…




勘だけど―



『……何も、ないです。ただ、睦月が遅れたのは、私のせいです…すみません。』
「日直で遅れたなら仕方ないじゃないか。気に病むことなど無い。」


俯く名無しさんをフォローするゆみちん。


やはり表情は変わらないが、私には名無しさんが今にも泣きそうに見えた。



名無しさんを宥めるのはゆみちんに任せて、名無しさんと同じクラスで事情をしっていそうな睦月を部室から連れ出す。


「先輩、どうしたんですか?」
「ワハハ、睦月なら名無しさんが何で元気無いか知ってるんじゃないかと思ってなー。」



私の言葉に睦月は一瞬考え、言葉を紡ぐ…


悩みすら打ち明けられない…


(笑わなくてもいい、でも泣き顔だけは見たくない…)
 

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