中編
□蒲原
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「実はこんなことがあって…」
それは、放課後のこと―
「ねぇ、名無しさん。私の分も日直の仕事しといてくれない?私忙しいからさ〜。」
クラスの中で目立つ女子グループの一人が名無しさんに日直の仕事を押し付ける。
『えっ、でも…』
「いいでしょ?ね?」
『仕事はちゃんとやらないと…』
「あぁん!?何か言った?」
『いえ…別に。』
僅かに反論するも、凄まれ仕事を押し付けられる。
「じゃあ、よろしくね〜。」
ヘラヘラ笑って教室を出る彼女達。
名無しさんは黙ってその背中を見送っていた。
「…でも大丈夫なの?泣かれたりチクられたりしたら厄介じゃない?」
「大丈夫、あいつ感情無いから!」
「確かに〜!!」
廊下からカンに障る大声が響く。
蒲原先輩じゃないけど、表情を変えない名無しさんが泣いているように見えた―
「名無しさん、手伝うよ。」
『…睦月。大丈夫、睦月まで部活に遅れちゃうから。』
「一人じゃ時間掛かるよ。さっさと終わらせて部活行こう。」
『…うん。ありがとう。』
「ワハハ、それで二人して遅れたのかー。」
「はい、すみません。」
「ワハハ、気にしない、気にしない。それにしても、そいつら見返してやりたいなー。」
「見返すって…どうやって?」
蒲原先輩が何やら悪巧みを始めたみたいだ―
私を怒らせてしまったようだな…
(名無しさん!特訓だ!!)(へ…?)