中編

□です
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「ワハハ、名無しさん。聞いたぞ。」
『な、何をですか?』
「クラスの奴らのことだよ。」

睦月から話を聞いて、早速部室に戻り名無しさんに告げる。


「ワハハ、名無しさん特訓するぞー。」
『特訓なんて、私は別に気にしてませんから…』
「無理して笑ったり、泣いたりしなくてもいい。だけど名無しさんばっかり損するべきじゃないだろー?」



言い聞かせるが、頑なに首を縦に振らない名無しさん。


『私は…気にしませんから。』
「名無しさんが気にしなくても私が気になるんだ。」
『…』



困らせてしまったか…
様子を伺い、顔を覗き込む。



どうやらそうではないらしい…



覗き込んだ名無しさんの表情は、相変わらずの無表情の中に微かに嬉しさが浮かんでいた。












「じゃあ、まずは私に続いてやってみろ。“ワハハ”。」
『…ワハ、ハ?』
「ワハハ、もっと元気に!“ワハハ”。」
『わ、ワハハ…!』
「そうだ、いいぞー。」



かくして、名無しさんの特訓が始まった―




「加治木先輩、あれは何の特訓なんですか?」
「…さぁな。」



「いいか?勇気が欲しい時はワハハを思い出せー。」
『は、はい。』



後ろで睦月とゆみちんがボソボソ言ってるが、気にしない。


「加治木先輩、ワハハを思い出すとどうなるんですか?」
「…私に聞くな。」



ワハハで特訓!!


(緊張した時は手の平に“ワハハ”と書いて飲み込むんだぞー。)(手の平にワハハ…。)(真に受けるな、名無しさん。)
 

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