中編

□!
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蒲原先輩と名無しさんの特訓から数日後―





再び例のグループと名無しさんが激突する日がやって来た。



「ねぇ、名無しさん。悪いんだけどさ今日の掃除当番一人でやっといてくれない?」
「私達忙しくてさー。」
「ってあの広い体育館掃除一人でとか無理でしょ!!」
「ハハッ、大丈夫でしょ?ね、名無しさん。」





今回は体育館掃除を名無しさん一人に押し付けようとしているようだ。



聞いていてさすがに腹が立って、助けに入ろうと彼女達に歩み寄る。











『…っさ、サボりは良くない!!』











名無しさんが叫ぶ。


初めて聞く名無しさんの大声に、教室にいた全員が動きを止め注目する。



「な、何だって…?あれ〜聞き間違いだよね〜?」
「今ならまだ聞かなかったことにしてあげるけど…。」


名無しさんに掃除を押し付けようとしていた子達が我に返り、再び名無しさんに詰め寄る。


名無しさんの様子を伺うと、何か呟いていて…



『…ワハハ、ワハハ、ワハハ…』


「あん?何ブツブツ言ってんだよ?」
『サボりは、良くないよ!!』
「お前何言って…!?」


名無しさんの言葉に苛立ち、掴み掛かるも名無しさんのいつもと違う力強い眼差しに怯んでいるようだった。



「…」
『…』


無言で睨み合う名無しさんとグループのリーダー格の子。



「…ッチ、分かったよ。さっさと終わらせるぞ!」
「「…は、はい!」」



みんな揃って体育館掃除に向かう背中を見送る―





名無しさんはよく頑張った。
蒲原先輩の特訓の成果も出ていた。


表情はあまり変わらなかったが、その眼力は不良グループの子達も怯ませる程のものだった―


勇気の出るおまじない


(掃除から戻ってきたら先輩達に報告しに行かなくては…!!)
 

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