中編
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体育館掃除を終え教室に戻る―
さっきは我ながら大それたことをしてしまった…
でも、また仕事を押し付けられなくて本当によかった。
せっかく蒲原先輩に特訓してもらったのにまた掃除を押し付けられて部活に遅れたら、蒲原先輩に顔向けできないし…
「名無しさん、部活行こう。」
『うん、今行く。』
睦月と一緒に部室に向かう。
そういえば、さっき助けようとしてくれてた…
『睦月…さっきはありがとう。』
「私は何も…名無しさんが頑張ったんだよ。」
『ううん、蒲原先輩の特訓のおかげ…』
そうだ、蒲原先輩にも報告してお礼を言わなきゃ…!
上手く伝えられるかな…
緊張してきた…
ワハハ、ワハハと心の中でおまじないをしながら部室へ向かう。
「『こんにちは。』」
「おー。」
「名無しさん、どうした?何だか顔色が…」
緊張しすぎで加治木先輩に心配されてしまった。
お礼、言わなきゃ…!!
「名無しさん、またクラスの連中に何か言われたのかー?」
蒲原先輩も心配してくれてる、けど…違うのに…!
伝えなきゃ…!!
ワハハ、ワハハ…
おまじないを唱え、勇気を出して一歩踏み出す。
「おっと!…ワハハ、どうした名無しさん?照れるぞー。」
一歩踏み出した私は勢いに任せて蒲原に抱き着いた。
恥ずかしかったし、真っ赤になってるだろう顔を見られたくなかったから―
『先輩…!私、ちゃんと言えました。今度は負けませんでした。せ、先輩のおかげです!』
「ワハハ、そうかー。よく頑張ったなー名無しさん。」
蒲原先輩が頭を撫でてくれる。
心地好い…
じゃなくて!ちゃんとありがとうって言わなきゃ…!
『あの、その…!ありがとうございました!』
「…ワハハ。」
蒲原先輩の顔を見上げる。
先輩、顔真っ赤…
「「名無しさんが…笑った。」」
『…え?』
加治木先輩と睦月の声が被る。
自分では気付かなかったけど、私…
『笑えてた…の?』
「ワハハ、見込み通り可愛かったぞー。」
どうやら、蒲原先輩の特訓はこんな所にまで効果があったみたいです―
辛い時はワハハと笑おう
(きっと今日より良い明日が待ってるから―)