人魚姫

□3つ
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「あっちーなぁオイ」

青い空、白い雲、眩しいビキ…じゃなくて太陽!
海の家でアルバイトの決まった長谷川さんに依頼されて、俺たち万事屋はバカンスに来ていた。


「違う違う!依頼!店長に店任されたから、手伝ってほしいって依頼!」

…とトウモロコシと焼きそばを焼きながら叫んでいる長谷川さんを軽く無視して波に揺られる。うっせーよ海に来たら普通泳ぐだろこの焼けるよーな暑さの下、鉄板とにらめっこ出来るかっての。


「無視してんじゃねーよ銀さああああんっ」

「長谷川さん、コレ焦げてて苦いです。こんなんじゃ誰も買いませんよ。直ぐにクビになりますね」

「もっさりした焼きそばネ。もっとチリチリに焼くヨロシ。まぁどーせクビになるから、私が食べといてやるヨ」

「手伝ってって言ってんの!なに君ら、オジサンに怨みでも…あああ嬢ちゃん食べないでェェェ!」


ギャーギャーうるさい浜辺の喧騒は聞こえないふりをして、ぷかぷかと漂う。
空気がパンパンに入った浮き輪独特の匂いが鼻を突くのも気にならないくらい、心地よい。

(やべーよコレ。銀さん今クラゲになってんじゃね?俺は海の一部であって海は俺の一部と化してるよ。……きもちー…)


閉じた瞼の裏はお日さんのおかげで真っ赤になっていて軽く感動した。

銀さん心はいつまでも少年だからね、いい大人が何言ってんの?なんて思わないでほしいと願っている今日この頃です。あれ、わけわかんなくなってきた。
アレだ、
あまりに気持ちいーんで、
こう、

睡魔が……



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