庭球

□ウマイム寺と戒め
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今日もくっそ暑い中、朝から夕方まで練習して俺のカロリーメーターは底が尽きそう。
んで部活が終わって腹が減って仕方なかったから奢らせようとジャッカルに声かけたら、俺も行くッス!たまにはいいね、そうですね、ピヨッ…な成り行きに。


結局レギュラー全員でマック寄ることになった。三強とファストフードって似合わなさすぎだろ。そんなことはどうでもよく、腹の虫が泣き喚く俺はメニューを見て目に入ったもの片っ端から注文した。ジャッカルが顔面蒼白で汗だくだったけど関係ない。後でシーブリーズでも貸してやるかな。


商品山積みのトレイを2つ、ジャッカルにあと2つ持たせて皆がいる席に戻った。

「丸井!なんだっその量は!」
「ふむ、これら全ての熱量を計算すると…」
「ジャッカル先輩不憫ッスね…俺の一口あげますよ」
「私のポテトもどうぞ」


いろんな声が聞こえたけど、腹減ってんだからしょーがねーだろぃ!何故か仁王と幸村くんは俺と顔色の悪いジャッカルを交互に見てコソコソ話してるけど。まぁいいや気にしない。



そしてひとつめのハンバーガーを食べようとしたまさにそのときだった。


「待ちんしゃい」

意味深な笑みを浮かべた仁王が提案したのがウマイム寺というゲーム。めち○イケの企画に昔あったもので、本当はかごめかごめの要領で何人かで歌いながら輪になんの。で、曲に載せて中心の奴に食べ物を一口食わせる。中心にいる奴は目隠しで何食べたか当てるっていう単純なものだ。あ、歌はマイムマイムの替え歌らしいぜぃ。

幸い真田意外はこのゲームを知っているらしく、真田にルールやフレーズを教えていた。まぁ、逆に真田が知ってたら驚きだよな。で、懐かしさと悪ノリが相まってゲームをすることに。俺としては早くがっつきたいんだけど、楽しそうだからやってやろーじゃん。



「食べたい食べたいおなかがへーった」

「目隠しした人これなにか当ってって」

「「うまいうまいうまいうまいうまいごっちっそ!」」

「「うまいうまいうまいうまいほっぺ落っちっそ」」


非常に読みづらいと思うけど、勘弁な。


「にーおうせんぱい食ーわしちゃって食ーわしちゃって」

「ま、まるいぶんたに」


真田がどもってるオモロイ。


「よっしゃ来い!」


ばちーんと両頬を叩いて気合いを入れ、幸村くんから借りたヘアバンドで目隠しをした俺は準備万端。口を大きく開けて待つ。仁王が口元に食べ物を持ってきたっぽいので、遠慮なく大口でかじりついた。

それがいけなかった。


「…あがっ!あ゙あ゙あっつ!てめえええ仁王!」

なんで初っぱながアツアツのアップルパイなんだよ!舌これ火傷してんだけど!


「ちょ、お願いなんか飲ませて」

「じゃあ俺の水…」

「いいよ、ジャッカル。俺の飲ませるから」

「そ、そうか?サンキュ」


どうやら幸村くんが飲ませてくれるらしい。神の子感謝。



「はい、口開けてー」

ダバダバダバ

「ぅえ゙っほ、ゲホッ!熱ッにがっ!」

「あっはっは!ホット珈琲だよわかった?」


まじ幸村くん鬼畜。
俺は涙目になりながらヘアバンドを外して幸村くんを睨…もうとしたけど超絶笑顔でジャッカルの頭を撫で、仁王までジャッカルの肩に手を置いていた。


…そうだよな。
ジャッカル、俺が悪かった。

だからその水をください切実に。



2012 0912

丸井くんはこんなにジャイアンじゃないよね。ジャッカルだから甘えちゃうってことで。

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