小説

□空を見上げれば月
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いつもより明るい夜道、ふとアスランは空を見上げた。
雲一つない夜空には小さく輝くいくつもの星が瞬き、月が綺麗な円を描がいていた。
空に向かって吐く息が白く揺れて消える。
吸い込まれそうに綺麗な光景に足を止め眺めていたが、こんなとこらでゆっくりしていては帰るのが遅くなるなと思い歩きだす。
自宅までの道のりはかなり遠い。
家賃節約のためにと選んだアパートは、賑やかな駅周辺から離れた閑静な住宅地に建つ。
築30年の木造建築でレトロな感じが漂う。
こんな季節は歩いて帰るのがつらい。
早歩きで急ぐ。
ふと前方にぼんやりと人影が瞳に入る。
この通りは入り組んだ裏道で滅多に人とすれ違うことはない。ましてやこんな遅い時間帯になど。
珍しいなんて思いながら眺めていたら、どうも酔っぱらいらしく足元がふらついていた。
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