小説

□空に浮かぶ夢
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いつも朝は低血圧で体に力が入らず動けない。
なかなか目も覚めず、寝起きもすこぶる悪い。
しかし、今日は違った。
目覚ましのメロディが、耳の鼓膜が裂けるかと思える叫びだった。
目が覚めるどころか頭も一気に冴えた。
どこかで事件が何て慌てて飛び起きる。
突然胸ぐらを捕まれて驚くと、昨日のお騒がせ青年が驚愕な顔をして猛烈な勢いで叫んでいる。
事件現場はどうやらここらしい。
「貴様、ここはどこだ」
もしかして、昨日の記憶はないのか。
にしても朝から元気だな。「俺のアパートです」
「なにぃ、何で見ず知らずの貴様の家にいるんだ」
何だか敬語使うのも馬鹿馬鹿しくなってきた。
あんなに酔って暴れて、頼んだのにこの言われようは何だ。
「どうしても泊まりたいて暴れたの覚えてないのか」一瞬びっくりして固まるが、すぐに言い返してくる。「そんなことするわけないだろ、そんな覚えもない」自信満々に答えが返ってくる。
「昨日は随分酔ってたみたいだけど、酒癖わるいんじゃないか」
そう言い返すとふと考えこむ様に黙り込むんだ。
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