小説

□空に舞う粉雪
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寒さに目が覚める。
部屋の窓から外を見ると白銀の世界が広がっていた。一晩かけて降り積もった粉雪はすべての音を吸い込み辺りはしんと静まりかえっていた。
微かに差し込む朝の光に照らされ煌めく雪に目が離せなくなる。
暫く世界に浸っていると、ふわりとした暖かみが肩に広がる。
「こんな薄着でつたっていたら風邪を引く」
目を覚まして起きてきたィザークが少し怒りながら毛布を掛けてくれる。
さりげない優しさに顔が自然と綻ぶ。
頬に暖かな手が触れる。
「冷たい」
そのまま両方の掌で頬を包まれる。
冷えた体にそこから流れてくるほのかな温もりがしみ渡る。
瞼を閉じて心地のいい感覚に身を任せていると、そっと唇をふさがれる。

それは、寒い寒い朝の出来事。

END

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