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□万屋時代店
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世界中の最先端の情報が行き来する日本の都市東京。この場所から少し離れた所になんとも不似合いなしかし、立派な日本屋敷が建っていた。

「もう朝か」
障子越しに差し込んでくる朝日で目を覚ました政宗は、今まで自分が寝ていた布団から起きあがった。
「また髪が伸びたな」
背中の真ん中ぐらいまで伸びた自分の黒髪を半円形の愛用の櫛で解かしながら呟いた。
軽く身なりを整えると外に繋がる障子戸を開けた。
長い廊下を歩いて行くと勝手場からいい匂いがしてきた。
「あれ?政宗様もう起きちゃったの?」
茶色かかった髪を三角巾で隠し割烹着姿で朝ご飯を作っていた人物が少し驚いたように振り向いた。
「あぁ。なんだか早く目が覚めてな」
「もう少しで朝ご飯できるから、少し待ってくれる?」
「何か手伝うことがあるか?」
「うんや。別に無いよ」
それだけ言うと鍋に視線を戻した。
朝ご飯まで時間があると分かった政宗は、いつも食事をする居間に向かうことにした。
勝手場のすぐ隣の部屋にある居間には、大人数で食べれるように部屋が二つづきになっていて、均等な間隔で座布団が置いてある。あとは、液晶テレビが一台置いてあるが普段あまり使わない。
「珍しいな。貴殿が一番とは」
鮮やかな緑の着流し姿の長政が居間に入ってきた。
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