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□万屋時代店
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一人で待っているとまた外が騒がしくなってきた。
幸村を連れてきた佐助を先頭にぞろぞろと入ってきた。
みんなが自分の席に座るのを確認したら、今日の料理当番の佐助が両手を合わせた。
「みんな揃ったね。んじゃ頂きます」
「頂きます」
佐助の合図で食事が始まった。
「幸村君。今日も朝稽古をしてたのかい?」
穏やかな顔をしている元就が隣に座っている幸村に尋ねた。
「すいません。うるさかったでしょうか」
「いいや。今度は、私も参加させてもらおうかと思ってね」
「政宗。今日はどうしたんだよ?えらく早起きだったそうじゃねぇか」
政宗の隣に座っている深い青色の着流しかから引き締まった体つきが見えている元親が何が面白いのか、口元が笑っている。
それを見た政宗がもう少し身なりを整えないのかとため息を漏らした。
「まぁな。それより、着流しがはだけているぞ。直したほうが良いと思うが」
「堅いこと言うなよ。別に困る事はないだろ」
「いや、あそこがな」
政宗の視線の先には、恥ずかしそうに目線を下げているお市といつも以上に眉間に皺を寄せている長政がいた。
「悪い悪い。すぐに直すからよ」
少し慌てて、身なりを整えると、ほらよと長政に見せた。
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