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□万屋時代店
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「もう大丈夫だそ。市」
長政の声で顔を上げた市がホッとしたように肩を落とした。
「すいません。長宗我部様。どうしても慣れなくて」
「謝らなくちゃいけないのか俺のほうだ。すなねぇな」
「いえ。私も早く慣れるように努力します」
意気込んでいる市の頭を長政が優しく撫でた。
「長政様?」
「良い心がけだ」
優しく撫でて貰って市は嬉しそうに笑った。
そんな騒がしい食事も終わり頃に、また廊下から人の気配がした。
「皆様おはようございます」
襖を開けると廊下で正座姿の各々の従者が並んでいた。
「さっそく、今日の仕事の確認をさせていただきます」
さっと大判の本位の大きさの記録用の書き留めを開いた佐助が今日の計画を発表した。
「まず、長宗我部元親様と真田幸村様は、最近海賊が増えて困っていると相談がきたので、熱海まで行って海賊退治をお願いします」
「おうよ。しかし、俺が海賊退治か。なんか複雑だな」
ガリガリと頭を掻いている元親をみた幸村が苦笑した。
「次に、浅井長政様は、近所の道場に稽古の手伝いをしてほしいという依頼がきています」
「了解した」
「伊達政宗様は、今日来客がありますのでそちらをお願いします」
「分かった」
「最後に毛利元就様は、すいませんが店番をお願いします。」
「ああ分かったよ」
一通り読み上げると書き留めを閉じた。
「では、今日も一日頑張りましょう」
最後は、佐助の言葉で締めくくられた。
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