ゴミ箱
□小さくなっちゃった
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「よしよし」
現在俺は、知弦さんの膝の上に座っていて、頭を撫でられている。
「皆の前ですよ?やめてください」
「いいのよ、皆も異論はないわよね?」
『ないです』
生徒会メンバーが口をそろえて言う。
「いやいや、お前らこれはあれだぞ?えーと…そう、いちゃいちゃだ。見てて不快だろう?」
「いや、別にほほえましいと思うだけだし」
深夏にバッサリ切られた。
「と言うか、分かってると思うが、ハヤト」
次は杉崎が口を開いた。
「今のお前らは、恋人と言うより、親子だ」
「そうよ。ほら、ウィーちゃん。いい子いい子」
再び頭をナデナデされる。
「でも、どうして小さくなってしまったんでしょう?」
真冬ちゃんが疑問を投げかける。そう、今の俺は身体が幼児退行しているのだ。
会長を超え、エリスちゃんクラスまでに縮んでいる。
教室をでて、生徒会室に向かっていると知らない間に小さくなっていた。
隣にいた杉崎の「アレ…君、誰?」はふざけているのかと思った。でも深夏も様子がおかしいから何かと思ったら目線が全然違う。
それよりも杉崎と深夏の身長が高すぎると感じたときに自分に異変が起きていると知った。
「うふふ。もう良いじゃない」
知弦さんが俺を抱きしめる。
「やっぱりウィーちゃんは小さい頃からかわいいわね」
「まるで現在進行形で可愛いみたいな言い方ですね」
「ええ、そうよ。それよりも、ウィーちゃん。ほら、昔みたいに私のこと呼んでよ」
「…知弦おねーちゃん」
「はぁっ。いいわ。凄く良いわ」
知弦さんの隠しているつもりの女の子性が全面的に出ている。
「なんか、その方がしっくりくるな」
「何だ、杉崎。お前まで」
「ほら、パパって呼んでごらん。俺はお前のパパだ。俺と知弦さんとの子なんだよ」
「…おにぃ。なんでそんなこというの?僕だけの事を見てよ。女なんて、要らないじゃない。僕たち、たった二人の兄弟でしょ?お互いが、お互いのことを見てればいいんだよ」
「なんでヤンデレチック!?しかもパパじゃないし!」
「これからもよろしくね、おにぃ」
「俺が悪かった!頼むから元に戻してくれ!」
やっとこりたか。しかしいい加減知弦さんの膝の上から解放されたいのだが。
「知弦おねーちゃん。降ろして」
「駄目よ。危ないじゃない」
「いや、大丈夫だから。生徒会室危なくないから」
仮に危なかったら今すぐ逃げ出させてください。
それにしても、と会長が口を開いた。
「どうするの?」
「どうするって?」
「元にどうやって戻るのよ」
「いや、その内戻るでしょう」
そうやって答えてみたはいいが、実際不安だ。一生このままとかいや過ぎる。
…なんとかして戻らなくては。