NOVEL3

□幼なじみLOVE☆6(第1部終)
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第6話


〜すれ違いの涙は傷心を癒す泉へ〜



「おいリディア……そろそろ泣き止めよ…」
途方に暮れたニコが言う。



ここはリディアの私室だ。

リディアは学校から帰ってきたら部屋に閉じこもったきり出て来なかった。
ニコが説得して、やっと部屋に入れてくれたところまではいいが、
その後リディアは大泣きして、ニコを大層困らせた。

「リディア……そろそろ寝ないか??」

「だって……ヒック…」

「あんまり泣くと目が腫れるぞ。……」

「ねぇ……」

「なんだ?」

「あたしの……話……聞いてくれない…?」

「え………。」

『教授も今日は大学に泊まり込んでるし……俺しかいない…か。』
ニコはそう考えると、

「……いいぜ…。」
と、返事をした。

「あのね。あたし……失恋したの…。」
いきなりリディアの身の上話が始まった。

「失恋って……リディアって好きな奴いたのか!?」
ニコはまずそこから驚いた。

「うん………付き合ってた…の。」

「え!?誰だよそれ!!」

「エドガー。」

「エドガー?……えーと、誰だ…?……。」

「幼なじみ…の。」

「ああ!!リディアが小さい頃によく遊んでた奴か。」

「でも、脅されたの。」
泣いて混乱しているのかリディアの話は支離滅裂だ。

「脅された…?なんで?」

「あたしが授業サボったから。」

「……それは良くないな。」
何のことだかよくわからないが、ニコは一応相槌をうつ。

「だから…秘密にする変わりに付き合えって…。」

「……え?無理矢理付き合わされて泣いてんの?…さっき失恋、とか言ってなかったか?」

「でも、他の子と……」
その先をリディアは言わなかった。
が、人間の感情に疎いニコでも何となく想像できた。

「浮気……か?」

「ううん。…あたしが素直じゃなかったから…」

「は?」
ニコはまたわけがわからなくなった。

『えーと、脅されて付き合ったけどリディアはそいつが好きで、…そいつが他の子と…浮気?』
ニコはぐるぐる考える。

『いや、浮気はリディアが素直にならなかったせい?……なんじゃそりゃ??』

「最初は嫌いだった…の。」

「………。」
頭を整理するためにニコは黙って聞く。

「でも、いつの間にか……好きになって…たの。」

「で?」

「でも、……つらいから……さよならって言っちゃった!!」

そう言うとリディアはまた激しく泣き出した。

「お、おい……。」

ニコは再び困惑した。

「なあ、明日学校だろ?……もう寝た方がいいぜ…。」

「……え……。」

ニコの言う通りだった。
時計は既に午前3時を過ぎていた。

「……でも、ひとりじゃ眠れそうに……ないわ……。」

「しょうがねーな。俺の尻尾を貸してやるよ。」

そう言うとニコはリディアをベッドまで導いた。

「ニコ………。」

リディアがベッドに入るとニコはリディアの枕元に丸くなり、
リディアの頬をふさふさの尻尾で撫でた。

リディアは泣き疲れたのだろうか。
《眠れない》とか言っておきながら、ニコの尻尾を緩く掴むと、
そのまますやすやと眠りに落ちていった。



『リディアは本当に泣き虫だ。……小さい頃と変わってないじゃないか……』
ニコは疲れたため息をついた。


でも、俺がリディアを慰めてやれるなら……悩まされるのも悪くない…か。


そんなことを思いながら、ニコもリディアとともに眠りについた。
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