NOVEL3
□恋愛ゲーム1
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第1話
〜婚約相手は最低男〜
「はあ……嫌だな…。」
リディアは目覚めたとたんにため息をつく。
だって、昨日見てしまったんだもの……
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昨日。
リディアが買い物をしていた時のことだった。
建物の角を曲がろうとしたとき……
「あなた、私以外に何人恋人がいるわけ?」
女性の声がしたのでリディアは足を止めた。
まあ恋人同士の喧嘩かな?とか思って通り過ぎようとしたのだけれど…
「何の話?」
そう言った男性のことを見てリディアは固まった。
「とぼけても無駄よ。」
「………20人くらいかな?でも愛してるのは君だけだよ。」
エドガーだ………
エドガーはリディアに(仮)婚約者として紹介された男性だ。
『エドガー、恋人いたんだ……』
……じゃなくて!!
に、20人ですって!!
なんて最低な男なの!?
しかも、愛してるのは君だけだ?
ふざけるのもいい加減にしなさいよ!!
リディアは心の中でエドガーの悪態を突きまくる。
それなのに……
「私もそうだと思ってたわー。」
ガクッ……
リディアはずっこけそうになった。
『え?信じるのー??』
リディアにしてみればありえない感覚だ。
まあお相手はどこかのお嬢様っぽい人。
世界は自分中心と思っているのかもしれない。
さて、ここまでの会話は100歩譲って許すとしよう。
(リディアにとっては他人事だし)
しかし。
「ねえエドガー、貴方、婚約の噂がたってるけど、それって本当なの?」
ぎくっとリディアは身を強張らせる。
「本当だよ。」
「え!?」
「でも、しょせん父上が勝手に決めた話。僕は婚約する気も結婚する気もさらさら無いよ。」
「ふふっ、よかった♪」
「ただ、結婚ごっこに付き合ってあげてもいいかな、って思って。」
「結婚ごっこ?」
「まあ婚約とか結婚のまねごと、みたいな感じだよ。」
「……で、お相手はどんな方なの?」
「可愛くて可憐な子。でも…僕にはちょっと子供すぎるかな?歳は17だそうだし。」
「あら、貴方には年上の方がお似合いよ。」
「つまり、君のような?」
「そういうこと。」
「でもね、うぶな子ほどからかってみたくなるじゃないか。」
「あら、悪趣味だこと。」
女性はそう言ってエドガーに抱き着く。
「ねえ、今夜はエドガーと過ごしたいわ。」
女性は甘えたように言う。
「しょうがないな。僕の今夜を君に捧げてあげよう。」
「ふふっ、ありがとう」
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その後、二人は人混みに消えて行った。