NOVEL3

□恋愛ゲーム5
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第5話


〜悲しみが溢れる場所と動き出した影〜



「うーん…。」
リディアは腕を組む。
妖精のことについて調べたいのだけれど、家の資料が足りないのだ。

「どうしよう…。」

リディアはしばらく考えたあげく、

「あっ…」
と何か思いつき受話器を手に取る。
アシェンバート社長に電話をかけるのだ。
なぜなら、先祖がイブラゼル(ここでは物語上の妖精の国)をおさめていたなら
きっと妖精の書物もあるだろうと思ったのだ。

べつに社長じゃなくてエドガーでもいいのだが、
先日うっかりエドガーに泣き顔を……
いや、エドガーの前で泣いてしまったのでちょっと気が進まなかったのだ。










『…もしもし。』
リディアはさっそく電話をかけたらしく、相手が応答した。

「あの、リディアですが…」

『リディア…さん…?』
どうやら電話に出たのは使いの人のようだ。

「あ、リディア・カールトンです。」
リディアは丁寧に言い直した。

『あ…エドガー様の…いえ。……ご用件は何でしょう?』
男の人のようだが……なにやら口調が堅い。

「あの、妖精についての…あ、イブラゼルについての書物を借りようと思いまして……。社長さんにかわってもらえませんか?」

『社長は今取り込み中です。書物のことなら私が取り次ぎます。』

「じゃあこれからそちらに向かうので、お願いします。」

『かしこまりました。私の名前はレイヴンです。』
相手はそれだけ言うと電話を切ってしまった。


「…レイヴン……さん?どんな人だろう?」
ちょっと不安になりながらリディアは出掛ける支度を始めた。















リディアは今、さっそくアシェンバート家に着いたのだが、
未だに屋敷の立派さに気後れしてしまう。

「貴女がリディアさんですか?」
ちょうど男の人が出てきて門を開けてくれた。

「はい、そうです。」
リディアは緊張気味に答える。

「私がレイヴンです。では中にどうぞ。」

「お、お願いします。」
リディアはレイヴンの案内にしたがってアシェンバート家の屋敷に入っていった。
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