NOVEL3
□恋愛ゲーム9
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第9話
〜つかの間の幸せ〜
リディアが目を覚ますとそこはあまり見慣れない部屋だった。
そして、すぐ隣ではエドガーが眠っている。
そこでリディアは昨日は彼の部屋に泊まったのだということを思い出す。
"じゃあ今日は恋人らしいキスを教えてあげる"
同時に昨日のエドガーの言葉と彼の柔らかい唇を思い出してリディアは赤面した。
「恋人のキス…か…。」
「なに?僕とのキスがそんなに感慨深かった?」
「え、え、ええ、…」
エドガー、と言いたいのにあまりに驚きすぎた彼女はうまく喋れない。
「そんなに驚いた?」
「……だって、寝ていると思ったんだもの。」
「うん、寝てたんだ。けれどリディアのかわいらしい声で目覚めた。」
「は………///」
また、馬鹿にして!
とリディアは思う。
なにがかわいらしいのだか問い詰めてやりたい。
はっきり言うが、あたしは17年間生きてきて一瞬たりとも自分を可愛いと思ったことはないのよ!
「それにしても朝からキスの妄想とは、リディアもいやらしいね?」
「も、妄想なんかしてないわよ!」
「あれ?じゃあなんで赤くなっていたの?」
「そ…それは……。」
エドガーとのキスを思い出して……
って、これってやっぱり妄想なのかしら?
(※回想です)
「いいよ、言わなくて。わかってるから。」
「……………。」
"僕はリディアのこと、なんでもわかってる"みたいな発言…
なんだか気に食わないんだけど。
貴方にあたしの何がわかるというの!
と、ひとりで心の中で悪態をついてみたりする。
「リディア。」
「な、なによ。」
突然、エドガーが真剣な表情を近づけるものだからリディアは一瞬びびる。
「おはようのキスをしてもいい?」
「は…………?」
「選択肢はふたつ。」
「ちょっ…」
「家族にするみたいなライトなキス。恋人にするようなディープなキス。さあ選んで。」
「……あの……エドガーさん…。」
「なにかな?」
「キスしないって選択肢はないのかしら?」
「ないね。」
きっぱりと断言されてリディアは肩を落とす。
よく考えればこの人は女タラシ。
昨夜に何も起こらなかったのが奇跡みたいなものなのだ。