NOVEL3
□恋愛ゲーム10
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第10話
〜友情と愛情、優先すべきはどちらなのか〜
「ねえリディア。」
目の前で誰もがうっとりするような表情で微笑むのはフェリシアである。
リディアは今、彼女とショッピング中。
彼女は幼い時から身体が弱い体質らしく、父親になかなか外出を許してもらえないそうだ。
しかし、今日は許可を得ることができたのでリディアにメールをよこし、今に至るわけである。
リディアにしてみても女友達というものが今までいなかったので彼女とショッピングというのは新鮮なものであった。
「なあに?」
「私ね、エドガーお兄様が好きなの。男の人として。」
「え!?」
「あら、そんなに驚かないでよ〜。」
茶化した口調で彼女は言う。
「だって…あ、あのエドガーを…?」
「ええ。リディアは好きじゃないんでしょ?」
「……な…んの話かしら?」
リディアはごまかしてみる。
たしかに過去に…そう、フェリシアに会ったばかりの時、あたしはエドガーを好きではなかった。
それどころか20股なんてサイテー男め!
女タラシなんてこっちからお断りよ!!
と、思ってさえいた。
しかし今は………。
「だからね、協力して?」
「え…?」
「前にリディア、エドガーとの結婚が不満、みたいなこと言っていたわよね?」
「そうね……。」
たしかにメールでそんなやり取りをしたかもしれない。
「つまり、私はエドガーお兄様が好きで結婚したい。リディアは彼を好きではなくて結婚したくないってことになるでしょう?」
「………。」
「利害が一致するんだから協力し合うべきよ。」
うーん………。
リディアは心の中で唸ってみる。
たしかにフェリシアの言う通りだったのよ、ちょっと前までは…。
でも今はエドガーが好きだ。
ただ、自分の友達…かつ、そのエドガーを好きだと主張している彼女に
"実はあたしも彼を好きになっちゃったの!"…なんて言いにくい…。
しかもフェリシアは結構勢いのある押しが強いお嬢様なのだ。
うーん、どうしようかしら?
リディアが考え込んでいると…。
「あ、アルが迎えに来ちゃったから今日のところは帰るわね!また今度メールするわ!」
と、彼女は車の方に行ってしまった。