NOVEL3
□恋愛ゲーム11
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第11話
〜それは新たなる嵐の予感〜
「……………」
リディアはうんざりした気分で、きらびやかな会場を見回した。
おそらく彼女はここにいる人達の中で1番不機嫌な顔をしているに違いない。
なぜなら、無理矢理財政関係のパーティーに連れて来られたからだ。
もちろん、婚約者によって。
会場に来ている令嬢や御曹司(?)たち、財閥の社長やその夫人なんかは楽しそうにおしゃべりの花を咲かせていた。
しかし、リディアはかなり裕福な家の娘だといっても財閥や大企業の令嬢ではない。
そんな彼女は自分がこの場に相応しくないと思い憂鬱になっている。
「リディア、そんなに眉間にシワを寄せたらキミの可愛い顔が台なしじゃないか」
飲み物を取りに行っていたリディアの不機嫌の現況は悪びれる様子もなく彼女を口説く。
「誰のせいで眉間にシワが寄ってしまったのかわかってないわね、アシェンバート家の御曹司様?」
「そんな他人行儀な呼び方はダメだよ、リディア。僕たちは夫婦になる仲だ」
「……あたしはまだ納得してないの!」
「僕を好きだと言ったくせにね」
…そう、たしかにあたしは貴方を好きだと言った。
けれど、貴方のことが好きなことと結婚を認めることはイコールではないの!
なにより、あたしはエドガーと自分が夫婦になった様子を思い浮かべられない。
きっとエドガーだって同じで…
「毎朝起きた瞬間から天使のようなリディアを拝めるだなんて、僕は神に感謝しなくちゃね」
……ああそうですか。
貴方は思い浮かべられるのね!
しかもその妄想、だいぶ現実とずれていると思うわよ?
「あのね、あたしは天使なんかじゃ…」
反論しようとして、リディアは自分のツッコミどころがずれていることに気付いて口を噤む。
「訂正しよう。ヴィーナスのような美しい姿の…ああ、もちろん寝る時は何も着ないよね?」
そこは訂正しなくていいのよ。
というか………はっ!?
なななにも着ないですって???
世間の夫婦がどういうことになっているかあたしは知らないけれど、
エドガーの前で服を着ないなんていう危険行為、誰がするもんですか!!
彼への行為は認めても、彼の性癖を受け入れられないリディアはこれから先もいろんな意味で前途多難である。