NOVEL3

□恋愛ゲーム12
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第12話


〜誤解と和解とそれから距離〜





「なぜこの場所を選んだんです、レディ・シャーロット?」
エドガーは厭味を込めて向かいのソファーに座る悪友…いや、ただの腐れ縁でしかない幼なじみを見遣った。

「他の企業に勘繰られたくないんだろ?ならあたしの言う通りにすればいい」

なぜだか偉そうに(本当に偉い身分だが)、彼女は言う。


彼女の名前はシャーロット。
エドガーは普段、"ロタ"と愛称で呼んでいるが、別に恋人だったわけではない。
…というかこの女と恋人とかありえない。
やることに気品も何もないし、おおざっぱだし…
まあ頼んだ仕事はやってくれるがそれ以外に何か良いところがあるのだろうか、とエドガーは思っている。
そんな彼女とエドガーが今いる場所はブティックホテル。(別名ラブホとか言ういかがわしい名前がついているところ)


「きみとこんなところに来るなんて夢にも思わなかった」

「いつまで皮肉を言ってるつもりだよ。情報はいらないのか?」

「…いる」
そう、そのためにこんな女らしさのかけらもない幼なじみとこんなところにいるわけで…

ロタもまた、エドガー同様財閥の令嬢だったりする(これでお嬢様とかありえないよね)
そして彼女はハッカーでもある。
それゆえ、パソコンからの極秘情報を手に入れようとエドガーは目論んでいるのである。
理由は簡単。
父親の取引先の会社がどうやら不正な営業をしているっぽいから、その証拠捜しである。

そして、そのような極秘情報を取引するからにはアシェンバートとロタの繋がりを知られるわけにはいかない。
ということで、ロタ(こんなやつ)と恋人のふりをしてこんな場所に来たのである。

「おい、エドガー聞いてるのか?」

「…聞いてる。それで?」

「黒だぞ」

「見せて」
エドガーはロタが差し出した書類を眺める。
どうやら…この会社とは関わらないほうが良さそうだ。
…父上に報告しなくちゃな…


そんなことを考えている彼に、婚約者の苦悩なんて知る由がなかった。

だって、想像しないだろう?
自分の写真が何者かによって彼女の家に届いているだなんて…


 
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