NOVEL3
□恋愛ゲーム(プロローグ)
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カールトン家。
「リディア、話があるんだが…」
父が改まってリディアに話し掛ける。
「なあに、父様?」
リディアはいつも通り研究室で思う存分妖精の研究をしてきた後だった。
本当ならリディアの歳の女の子は高校生だろうが、
リディアは人と関わるのがあまり好きではなかったので
中学を卒業した後は自分のやりたいことをやっている、というわけだ。
まあ、リディアが普通の子だったらカールトンも進学を薦めただろうが、
リディアは超がつくほど頭がよかった。
中学でも順位は1位以外取ったことがないくらいだ。
しかも、リディアは妖精を見ることができる。
だから、妖精の研究をしたい、というリディアの意見を尊重した。
そして、いつも優しく自分の誇りだと思っていた父がな、なんと……
「リディアに婚約の話があるのだが…」
と、頭をぽりぽりかきながら言ったのだ。
「はい?」
リディアは自分の耳を疑って聞き返した。
「婚約者を紹介したいんだ。」
カールトンは今度はきっぱりと言った。
聞き間違いじゃない…
「え、え゛〜〜〜〜!!嘘でしょーーーーー!!!」
今夜のカールトン家にはリディアの叫び声が響いたそうだ。
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その頃、アシェンバート家。
「エドガー、今度お前に婚約者を紹介する。」
エドガーの父は言う。
「はっ……何言ってるんですか。花嫁くらい自分で見つけられます!」
エドガーは言う。
「私の旧友の娘さんなんだが…」
「父上、聞いてます?」
「とにかく会うんだ。」
「……大体、父上は他社(財閥)の令嬢を嫌うじゃないですか。合併が嫌だからとか。」
「だから、彼女は財閥の令嬢ではない。」
「え……庶民?」
「お前、ハーバード大学を飛び級した時に《カールトン教授》という人がいただろう?」
「ああ、彼はとてもいい人だ。」
「その娘さんだよ。令嬢ではないが、かなり裕福な家で育ったお嬢さんだ。」
「…………ハァ…」
エドガーはため息をついた。
『なるほどね、財閥の令嬢じゃないから僕のと結婚を勧めるわけだ…。』
まあ、会うだけ会ってみるか。
女なんてどうせ皆同じだと思うけどな。
アシェンバート家の夜は案外穏やかに流れていった。