NOVEL3

□恋愛ゲーム(プロローグ)
4ページ/6ページ

リディアはレストランの前にあるベンチに腰掛けていた。

やっぱり人と関わるのは苦手だ。
普段の倍は疲れる、と思っていると不意に夜風が吹いた。

「わあ〜気持ちいい♪」
髪を風に靡かせながらリディアは呟く。

夜のネオンも綺麗に町を飾っている。

「やっぱり一人って最高ね。」

「リディアは一人が好きなの?」
いきなり声がしてリディアはビクッと振り向く。

「あ、アシェン…」

「エドガーって呼んで。仮ではあるけど婚約者なんだから。」

「婚約者って……その、エドガーは納得しているんですか?」

「してないけどね。」

「でしょう?あたしもしてませんもの。」

「まあ、少しの間付き合ってみるのも悪くないかもしれないよ?お互いを知るために。」

「でも……」
リディアが口ごもっている間にエドガーはリディアのすぐ隣に座った。

「きゃっ…」
リディアは驚いて声をあげたがエドガーは意に介さない。

「綺麗だね、夜景。」

「ええ……って、なんで隣に座るんですか!」

「なんとなく。ところでさ、リディアは香水とか付けてるの?」

「え、何も……」

「でも柔らかい香りが。これは…カモミール?」

「あっ…これはポプリです。香水は香りが強すぎてあまり好きではないんですが。」

「リディアはさ、笑うとすごく可愛いよね。」

「え!?あたしなんて……全然可愛くないです……もっと美人なひとなんて数え切れないほどいますし。」

『変わった子だな。』
エドガーは思った。
別に悪い意味ではない。

エドガーは女性なんてちょっと褒めれば《ありがとう!》とか言って喜ぶものだと思っていた。
少なくとも、エドガーの周りにはそんな女性しかいなかったのだ。
でもこの少女は自分を謙遜、いや、卑下する。

それだけならいいが……

『全然僕に興味を示さない!』
プレイボーイなエドガーにしてみればちょっと落ち込む事実だ。
いや、まあ絶対におとす!!って燃えてるのも事実なんだけど。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ