NOVEL3
□恋愛ゲーム(プロローグ)
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リディアはレストランの前にあるベンチに腰掛けていた。
やっぱり人と関わるのは苦手だ。
普段の倍は疲れる、と思っていると不意に夜風が吹いた。
「わあ〜気持ちいい♪」
髪を風に靡かせながらリディアは呟く。
夜のネオンも綺麗に町を飾っている。
「やっぱり一人って最高ね。」
「リディアは一人が好きなの?」
いきなり声がしてリディアはビクッと振り向く。
「あ、アシェン…」
「エドガーって呼んで。仮ではあるけど婚約者なんだから。」
「婚約者って……その、エドガーは納得しているんですか?」
「してないけどね。」
「でしょう?あたしもしてませんもの。」
「まあ、少しの間付き合ってみるのも悪くないかもしれないよ?お互いを知るために。」
「でも……」
リディアが口ごもっている間にエドガーはリディアのすぐ隣に座った。
「きゃっ…」
リディアは驚いて声をあげたがエドガーは意に介さない。
「綺麗だね、夜景。」
「ええ……って、なんで隣に座るんですか!」
「なんとなく。ところでさ、リディアは香水とか付けてるの?」
「え、何も……」
「でも柔らかい香りが。これは…カモミール?」
「あっ…これはポプリです。香水は香りが強すぎてあまり好きではないんですが。」
「リディアはさ、笑うとすごく可愛いよね。」
「え!?あたしなんて……全然可愛くないです……もっと美人なひとなんて数え切れないほどいますし。」
『変わった子だな。』
エドガーは思った。
別に悪い意味ではない。
エドガーは女性なんてちょっと褒めれば《ありがとう!》とか言って喜ぶものだと思っていた。
少なくとも、エドガーの周りにはそんな女性しかいなかったのだ。
でもこの少女は自分を謙遜、いや、卑下する。
それだけならいいが……
『全然僕に興味を示さない!』
プレイボーイなエドガーにしてみればちょっと落ち込む事実だ。
いや、まあ絶対におとす!!って燃えてるのも事実なんだけど。