NOVEL3

□恋愛ゲーム1
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「こんにちは、ブラウニー。」
リディアはさっそくしゃがみ込んで妖精たちとおしゃべりを始めた。

さすが、青騎士伯爵の末裔の敷地だけあって、
現在、妖精の数は減りつつあるのに、
ここには種類も豊富に沢山いる。

「リディアは妖精が見えるの?」
エドガーが話し掛けてきた。

社長もカールトンも奥の方へ行ってしまって不覚にもエドガーと二人きり。

「ええ。」
リディアはそっけなく答える。

「というか妖精って本当にいるの?」
真面目に質問しているように見えるが心の中では馬鹿にしているにちがいない、
とリディアは思う。

あの日の会話を聞いてから、エドガーに疑念を持ってしまって
彼の言葉は何も信じられなくなった。

「いるわよ。」

「…リディア、怒ってる?」

「別に。」

「あ、妖精がいるの?なんて聞いたから?」

「…………ハア。」

「リディア?」

「貴方にとってあたしが子供のように、あたしにとっても貴方は大人っぽすぎるの。」

「………。」

「だから貴方といても少しも楽しくないわ。」

「もしかして……この前聞いてたのって…リディア?」

「…………。」
リディアはそっぽを向く。

「うん、誰かの気配がするとは思ったんだけどね。」

「…………。」

「もしかして、ヤキモチ?」

「ご冗談言わないでくださる?貴方が誰と、何人と付き合おうがあたしには関係ないわ。」
ぴしゃりと言われてエドガーは怯んだ。

「むしろ、貴方とは関わりたくないの。」

「………僕は関わりたいな。」

「婚約する気、無いのでしょう?なら貴方と会う意味すら無いわ。」

「リディアって結構毒舌?」

「勝手にそう思ってればいいわ。」
リディアはこんな奴に毒舌だなんて言われてショックを受けたが
エドガーなんかに弱みを見せたくなかった。
だから……


「あたし、先に帰るわ。父様にそう伝えておいて。」

「じゃあ家まで送るよ。」

「結構よ。貴方と並んで歩くなんて屈辱だもの!」

「じゃあ車で。夜だし危ないよ?」


『この女たらしと帰る方が危ない気がするんですけど……』

リディアは本気でそう思う。
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