NOVEL3

□恋愛ゲーム5
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「ここです。」
レイヴンとたどり着いた部屋はどうやら書庫のようだ。
書物が壁いっぱいにある棚にびっしりと並んでいる。

「えーと…?」
リディアはどうすればいいのだろう?
と困惑する。

「必要なものは持って行ってもいいと社長から許可を得ました。」

「ありがとう、レイヴン。」
リディアは笑顔でお礼を言う。

「?……いえ、私は当然のことをしただけです。」
レイヴンはお礼を言われて不思議そうな顔をした。





長い廊下を歩きながらリディアは尋ねる。

「レイヴンは…社長さんの執事さん?」

「いえ、社長のご子息の付き人です。」

「そうなの……って、え゙ー!?エドガーの??」

「はい。」

「あの……エドガーにこき使われたり…するの?」

「こき……わかりませんが…エドガー様のお世話をするのが私の役目ですから。」

「へー………。」
リディアはレイヴンをまじまじと見る。



肌は褐色。
エキゾチックな顔つき。
それに結構無口。

エドガーとは正反対だわ、とリディアは思う。

「…なんでしょう?」

「あっ……な、なんでもないの。」
リディアは慌てて目を逸らした。

「…?」
レイヴンは再び不思議そうな顔をする。

「あ、の…レイヴンっておいくつ?」

「今年で18歳になりました。」

「え!?…あたしより1つ上なのね。」

「童顔なので。」

「あの…悪気があったわけじゃ…。」

「別にリディアさんがそんなに悪い人だとは思ってませんよ。」
その時レイヴンが微かに笑った。

一瞬ドキッとしたあたしの心臓は何なのかしら??







ガチャ…


突然部屋のドアが開いて、リディアは別の意味でドキッとした。

出てきたのはエドガーだった。
どうやらここは彼の部屋のようだ。


ただ、いつもと雰囲気が違っていた。
黒いスーツに黒いネクタイ。

全身が黒でコーディネートされているせいか彼の金髪がいつも以上に目立つ。

しかし、なにやら俯いて深刻な表情をしていた。
それにリディアたちに気づかない。


「…ェ、エドガー…?」
思わず呼びかけてしまったあたしはバカかもしれない。
が、やはりエドガーは様子がいつもと違う。

「リディアっ!?………………なぜここに?」
最初は驚いた表情を浮かべたが、それは一瞬。
いつもより低いテノールで尋ねられてリディアは少し怖くなった。
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