NOVEL3

□恋愛ゲーム5
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「…えーと、ちょっと妖精に関する本を借りにきた…の。」

「ふーん、そうなんだ。妖精ね。」

「…エドガーは…どこかに出掛けるの?」
いつもとは違うピシッとした服装を見てリディアは言う。

「ああ。母上のところに。」

「え?貴方のお母様って…亡くなったんじゃ…」

「だから、墓参りだ。…今日は命日だから。」



あ、そっか……。
だからエドガーの服装は黒なのね。
それにいつもよりも暗い表情。


「ねえ…。」
リディアは遠慮気味に言う。

「何?」

「あたしのことも…連れて行ってくれない?」

「??……母上の墓参りに?」
エドガーは不思議な生き物を見るかのようにリディアを見つめる。

「挨拶、したいから。」

「別にいいけど。リディアってやっぱり面白いね。墓参りについて来たい女の子なんて初めてだ。」

「そう?」

「まぁ、自分では自覚していないようだけれど。」
エドガーはクスッと笑う。



そんなエドガーを見てリディアは少しだけ安心した。
エドガーは嫌なやつだけれどあんなに暗い表情でいて欲しくはないから。


「じゃあさっそく行くよ。」
エドガーはリディアの手を引く。

「え…この手は何?」

「リディアが迷子にならないように。この屋敷広いから。」

「あー、こども扱いした!」

そう言ってムクっと膨れるリディアを見ていたらエドガーはまた笑いが込み上げてきた。



本当はね、こどもだなんて思ってない。
まあ僕よりも年下ではあるがしっかりしているし。

僕はただ、この安心できる存在と触れ合う口実が欲しかっただけ。

リディアのことは多分今でも好きだとは思わない。

でも一緒にいると、まるで小さい頃に母上といた時のように安心できる。
きっと他の女の子たちと違ってリディアに下心がないからだと僕は思う。



あーあ。
それにしても未だに疑問だ。
リディアはどんな男なら好きになるんだ?
振り向かせる方法はないのか?

エドガーはリディアを見ながらそんなことを考えるのだった。
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