NOVEL3
□恋愛ゲーム7
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「ねえ…どうして…?」
「フェリシアお嬢様…。」
フェリシアは夜の闇で暗くなった部屋に電気もつけずにいた。
「エドガーお兄様のお父様はなんで私じゃなくてあの子を婚約者にしましたの?」
「………そういえば、アシェンバート社長は財閥同士の合併を嫌いますね。」
そう言ったアルをフェリシアは見上げた。
「………つまり……私がアシェンバート財閥と張り合えるくらいのこのラモット家の令嬢だから婚約者に選んでもらえない、と?」
「まあ…互いに大財閥だとライバルっぽくはなりますからね。」
「……じゃあ私はどうすればいいんですの?」
「…でも、エドガー様はそのうち自らフェリシアお嬢様を選んでくれるのでは?」
「……だとしても彼のお父様が…」
「アシェンバート社長だって、息子の意見を優先するんではないんですか?」
「………………。」
フェリシアは考え込む。
「つまり、お嬢様がエドガー様を振り向かせればすべてはお嬢様の思う通りになります。」
「…じゃあ私がリディアを排除しなくてはいけない?」
「……お嬢様が最初にわたしにそう言ったんですよ?」
「そうだったわね…………でも…」
リディアは思っていた以上に性格がいい子だった、とフェリシアは思う。
彼女が本当に私の友達になるなら………
「弱気になるなんてお嬢様らしくないですね。」
「え?」
フェリシアはハッと我に返る。
「恋と友情。どちらかしか選べないのだとしたらお嬢様は果たしてどちらを選ぶのでしょうね?」
アルはまるでフェリシアの心を読んだかのように問い掛けてきた。
「それは、恋に決まっているわ。」
フェリシアはそのかわいらしい顔に似つかわしくないほど怪しく微笑んだ。
窓辺に置いてあったオレンジのミニ薔薇の花弁がひとひら床に落ちた。